倒すために
どうするのか色々と話し合ったあと、俺たちは最初にテスタと戦ったところまで戻ってきた。
「……準備はいいか?」
俺の言葉に、三人はコクリと頷いた。
「よし。じゃあファル、頼んだ」
「任せて」
ファルは詠唱し始め、それが終わると真上に向かって魔法を放った。
その魔法は凄まじい光を放ちながら空中で爆発し、凄まじい音が響いた。
「……これでいいかな?」
「充分だ。これだけ目立つことをすればーー」
「俺がお前たちの居場所を察知してやって来る……ってか?」
俺の言葉を遮るようにそう言ったテスタが、俺たちのところまで近づいてきていた。
「意図的に俺のことを呼び出すとはな。何か良い作戦でも思い付いたか?」
「どうだろうな。案外策無しでお前と戦おうとしてるのかもしれないぞ?」
「いや。お前に限ってそんなことはないだろ。それにーー」
テスタは俺を見ながら、嬉しそうに笑みを浮かべた。
「目の色が変わったな。アル、さてはお前ついに俺と戦う覚悟を決めたな?」
「ああ。今からは全力で……お前を倒しにいく!」
俺がテスタに向かって駆け出すと同時に、ルリとヘレンさんも動き出した。
「さて、まずは誰からーー」
「フラッシュライト!」
瞬間、ファルの放った魔法がテスタの目の前で目をつむるほどの光を生み出した。
「っ!? 目潰しか……!?」
テスタはたまらず目を閉じた。一瞬ではあったがそれだけでも十分な時間稼ぎになり、光が収まったときには三人で別々の方向からテスタへ攻撃を仕掛けることに成功していた。
「なるほど……な!」
テスタは状況を瞬時に把握したようで、まずは俺の拳の軌道をさらりとズラした。
「次はーーアンタの腕には当たりたくねぇな。いかにも危なさそうだ」
俺へのいなしを終えたテスタはすぐにヘレンさんへ意識を向け、体を少し反らすことで腕の攻撃を回避した。
テスタはそのまま首を少しだけ動かし、ルリの方を見ると、
「後ろなら斬ろうとしてるのがまるわかりだぜ?」
と言いながら、その場から少しだけ体を移動させた。
手を抜いているというのに、俺たち三人の攻撃をいとも容易く避けてしまったテスタには、圧倒的な差を感じざるを得ない。
だが、油断しているからこそ、ルリの攻撃で最後だと思っているからこそ、付け入る隙がある。
「今だ! 『縛れ』!」
ボコッと地面が盛り上がると、そこから黄金のツタが出現し、そのままテスタを拘束せんと凄まじい速さでテスタに迫った。
「何っ!?」
ただ普通にツタを使っていれば、きっとテスタにはかわされていただろう。
だが、今のテスタはまだルリの攻撃をかわしきっていない。つまり、ツタを避けるための行動をするには一瞬の遅れがある。
その遅れがあれば、ツタでテスタを縛れる可能性が出てくる。
そしてツタはテスタの体に絡み付き、テスタを縛ることに成功した。
「よっし!」
練習した甲斐があった。もしこれが使えなければ、次の作戦へと繋げることは出来なかっただろう。
「ちぃっ! この程度……!」
テスタが力を込めると、ツタがどんどんと千切れていくのが見えた。
わずかな時間しかテスタを拘束することは出来ないようで、もうすぐツタの拘束が解かれそうになっていた。
でも、それでいい。俺たちの目的はーー。
「らぁっ! こんなツタじゃ俺は……」
ツタの拘束を解いたテスタの肩に、ポンと誰かの手が置かれた。
「はぁっはぁっ……ーーギリギリ、間に合い、ました」
俺たちの目的は、隠れていたリンクさんがテスタに近づける時間稼ぎをすることだった。
「お前、一体ーー」
「いきます! 分離!」
そして、リンクさんの魔法が発動した。




