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駆けつけた仲間

「アル! 大丈夫!?」


 ルリが近くに寄ってきて、倒れている俺の体を支えて立たせてくれた。


「ああ、大丈夫だ。でも、どうしてここに? 村で待っていたはずじゃ……」


「爆発したような大きな音が聞こえたから、何かあったのかと思って急いで来たの」


「そっか……皆、ありがとな」


 ルリや、俺を守るように前に立っている二人に礼を言うと、三人はどういたしましてといった感じに笑みを浮かべた。


「……ところで、どうしてアル君の妹さんがここに? あと、テスタさんはどうしたの?」


 ヘレンさんが俺に聞くと、テスタは笑みを浮かべた。


「何言ってるんだ? 目の前に居るじゃねぇか」


「え?」


 ヘレンさんからしたら、突然イルビアが意味のわからないことを言ったように感じられたようで、わけがわからないと言った表情をしていたが、


「……もしかして、アル君の妹さんがさっきまでテスタさんに成り代わって……」


「違いますヘレンさん。イルビアは邪神が呼んだからここに居ます。そして、その邪神の正体が……テスタです」


「「「!?」」」


 ヘレンさんだけでなく、他の二人もその言葉に驚いていた。


「ほ、ほんとなの……? でも、そうだとしても邪神はどこに……?」

 

「……イルビアの中です」


「……え?」


「邪神はイルビアの体を依り代にしています。なので、今目の前に居るのがーー」


「邪神である俺っつーわけだ。もっとも、体は俺のじゃないけどな」


「な、仲間の身体を使って何とも思わないの!?」


 ルリの叫びに、テスタは平然とした顔で答えた。


「そりゃ俺だって優秀な部下の身体を依り代にすることは避けたかったさ。でも、さっきアルにも言ったが、イルビアには『兄を依り代に出来なければお前を依り代にする』と予め伝えてあったんだ。それなのにイルビアはアルが依り代にならないように行動し続けた。なら、こうなるのは当然のこと……だよな?」


「なに、それ……」


「依り代にならないように行動した……?」


 ルリとヘレンさんはどういうことなのかわかっていないようだったが、ファルだけは何かを理解したような表情をしていた。


「……やっぱり、そうだったんだ……」


 ファルはそう呟いたあと、


「やっぱりイルビアちゃんは、アル君のために……」


「ああ、そうだ。凄いよなぁ。兄の代わりに全部自分が背負って、終いにはその兄に向かって『私を殺して』なんて、大好きな人を守りたいからとはいえ、中々言えないことだと思うぜ?」


「そんなことして何が楽しいの!? イルビアちゃんがどんな気持ちでーー」


「知るか。俺は自分の目的さえ果たせればあとはどうでもいいしな。兄妹愛なんて見せつけられてもこちらとしてはどうでも良いって感じだ」 


「……なるほどね。貴方には傷ひとつなくて、アル君だけ一方的に怪我をしていた理由がわかったわ」


 ヘレンさんは俺の方へチラリと視線を向けてくると、


「アル君は優しいから、妹さんが自分のためにここまでしてくれてたなんてわかったら、攻撃することに躊躇するなんて当たり前だわ」


「そうだね。……きっと君も、こうなるのがわかってたんでしょ?」


 ルリの質問に、テスタはわざとらしく笑みを浮かべた。


「さぁ? 何のことだ?」


「許せない……貴方だけは……!」


 ファルが魔法を放つ構えを取ると、他の二人も戦う構えを取った。


「アル君の代わりに私たちが……!」


「君を倒す!」


 テスタは三人を呆れたような表情で見渡し、


「……俺が戦いたいのはアルで、お前らには興味もないんだがな……」


 まあでも、とテスタは付け足し、


「ここでお前らを倒せばアルは戦わざるを得なくなるだろうし、少しだけ付き合ってやるよ」


 その言葉と同時に、ルリとヘレンさんが動き出した。

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