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朝チュン

更新が滅茶苦茶遅くなってしまい申し訳ありません!


そろそろリアルがようやく落ち着いてきますので、更新を再開していきたいと思っています。

 眩しい光が俺の顔を照らした。


「……朝か」


 どうやらファルが眠ったのを確認したあと、いつの間にか俺も寝てしまっていたようだ。


「ファル、朝だ……ぞ?」


 昨夜ファルが寝ていたはずの場所に目を向けて声をかけようとしたが、そこにファルは居なかった。


「……あれ?」


 どこに行ったんだ? と思ったのも束の間、廊下の方からこちらの部屋へ歩いてくる足音が聞こえてきた。


 なんだ、廊下に居たのか。でもどうしてーー。


 そんな俺の疑問は、部屋に入ってきた黒い笑みを浮かべたヘレンさんとルリ、そしてその後ろで申し訳なさそうな表情をしているファルによって吹き飛んだ。


「アル君……これってどういうこと?」


「説明……してくれるよね?」


 ……やばい。何がやばいのかわからないけどとにかくやばい。今にも人を(あや)めそうな表情してるし……返答を間違えば死だ。


 とりあえずどうにかはぐらかして、話題を逸らそう。


「えっと……説明ってのはどういうことだ? 俺には何の事なのかーー」


「「正直に答えて」」


 ここは正直に真実を伝えるのが吉だな。うん。


「ファルに騙された。俺、被害者。オーケー?」


「「駄目」」


 何が駄目なんだ……。正直に説明したはずなのに……!


「ほ、ほら。今はそんなこと話してる場合じゃないだろ? 今日は邪神のところに向かうんだし、そのあとでも良いじゃないか」


「……まあ、そうだけど」


「そうね。これくらいにしておきましょ」


 助かった……。俺は地獄から抜け出しーー。


「でも全部終わったらまた聞くからね?」


 地獄が先伸ばしになっただけで逃げ場なんてなかった。


「そ、そういえば二人とも随分早いな! もう準備は出来てるのか?」


 俺が話題を逸らすためにそう言うと、三人は何とも言えない表情になった。


 あれ……? 何か変なこと言ったか……?


「アル君……その、私たちはかなり時間に余裕をもって仕度したわよ?」


「うん。それに起きる時間もいつもと同じくらいだったしね」


 え? 待てよ……? そうなると……。


 俺がファルの方へ視線を向けると、ファルは目を逸らしながら。


「あ、あんまりにもアル君が気持ち良さそうに眠ってたから、その、起こすのも悪いなぁ……って思って……」


 なるほどなるほど、つまり総合的に判断するに俺はーー。


「……俺、寝坊しちゃったパターン?」


 その言葉に、三人とも首を縦に振った。


 なるほど、そりゃヘレンさんとルリが俺の家まで来るわけだわ。


「ってそんなこと考えてる場合じゃねぇ!!」


 俺は全力で布団から飛び出ると、すぐにドタバタと仕度を始めた。


 幸いある程度の準備はしてあるが、朝食を摂っていなければ着替えもしていないし、寝癖を直してもいない。


 緊張感が無いにもほどがあるだろ! と自分にツッコミを入れながら、最速で仕度を終わらせ、息絶え絶えになりながら三人の前に出た。


「ぜぇっぜえっ……い、行けるぞ……」


 俺の様子を見て、三人は苦笑いしながら、少し休憩するとを促してくれたのだった。





「もう大丈夫?」


 確認してきたファルに、俺は言葉を返した。


「ああ、ごめんな。待たせて」


「そんなことないよ。元はと言えば私が起こさなかったのが悪いんだし……」


「確かにそうだな。よし、反省してくれ」


「つねるよ?」


「ごめんなさい。私が悪うございました」


 お前のつねり防御力貫通するからマジやめてくれ。痛いってレベルじゃない。


「あはは……。これから邪神のところに行くっていうのに、緊張感ないね……」


 若干呆れたように言うルリに対し、ヘレンさんは笑みを浮かべながら、


「そうね。……でも、変に緊張感して固くなるよりはマシじゃないかしら?」


「ふふっ。そうかもね」


 そうして、俺たちは邪神の居るというシルス村に向けて出発したのだった。

モンスターコミックス様からコミカライズ化が決定しました。


現時点で1話が読めます。詳しくは活動報告までお願いいたします。

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