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生まれ変わった変態

「……ん?」


「おはようアル。よく眠れた?」


  どうやら俺はいつの間にか寝てしまっていたようで、隣に座っていたルリに笑顔でそう言われた。


「ああ。……しっかし」


 馬車が出発してどれくらい経っただろうか。既に周囲の風景は見知ったものになっており、王都に着くのもあと少しといったところだろう。


「……随分寝てたのな、俺」


「お兄ちゃん、ぐっすりだったからね」


 そんなにか。……まあ昨日寝たの遅かったし、もしかしてそのせいかもな。


 でも同じ時間に寝たはずのヘレンさんはケロっとしているし、この差はなんなんだろうか。


 疑問に思っていたそのとき、馬車の動きが止まった。


 なんだ? ここは馬の休憩ポイントじゃないだろうし、止まる理由はないはずだけど。


「何かあったんですか?」


 そう聞いてみると、操縦者さんは困ったような顔をして、


「実は突然空から人が降りてきて、その人が馬車の行く手を妨げているんです」


 人が降りてきたって……一体どんな人が……?


 確認しようと思い馬車を降りると、空から降りてきたという人物と目があった。


「……うげ」


 その正体は、何かしらの魔法か道具で角を隠しているペドであった。


 ペドは俺の方を見てドヤ顔をすると、


「ほう、やはり貴様の乗っていた馬車だったか」


「帰れ」


 そしてこれ以上俺に負担をかけないでくれ。


「そんなことを言うな。そもそも、私の要求さえ飲んでくれればすぐに貴様の前から去るつもりだ」


「要求……?」


 どうせロクなことじゃないんだろう。そう思いながら尋ねると、ペドは不気味に笑い、


「ククク……。簡単なことだ。ユリア様をお持ち帰りさせろ」


「死ねロリコン」


 本来ペドは保護者的立場なのでここで預けるべきなのだろうが、言い方が何か卑猥だから易々と預けられない。


「ロリコン? ロリコンだと……?」


 俺のロリコンというワードに、ペドはいつも以上を不快な笑みを浮かべ、


「クハハハハハ! 私はロリコンではない! 私はユリア様だけに愛を捧げることに決めたのだ!!」


「どっちにしろ現時点はロリコンじゃねぇか」


 というかもしかしなくても母さんの影響なのかコレ。さらに面倒臭くなった気がするんだが。


「幼女とユリア様を同等の存在と思ってもらっては困るな!! 何せユリア様は世界にただ一人しか居ないお方なのだからな!」


 それ世界中の幼女にも当てはまることなんだけど頭大丈夫かお前。


「……というわけで、ユリアをこちらに渡せ。お持ち帰りする」


「とりあえずお持ち帰りってフレーズやめろ。気持ち悪いから」


「ふっ……貴様にこの尊い思考は理解出来んか」


 元々理解したくないだけなんだが。


 ……仕方ない、ちょっと試してみるか。


「……ところでペド、ユリアを渡すのはいいが、ひとつ聞きたいことがある」


「ほう? 言ってみるが良い」


 余裕そうな表情でそう言ったペドに対し、俺は後ろの方を指差し、


「さっき可愛らしい幼女が昼寝しているのを向こうで見かけたんだが、お前も見たか?」


「おい貴様それをどこで見たさっさと教えろ」


「お前結局ロリコンのままじゃねぇか!!」


「ぬべらっ!?」


 幼女の話をした瞬間すぐに食いついてこちらに詰め寄ってきたため、顔面に一撃お見舞いしておいた。


 前言撤回。こいつまったく変わってない。相変わらずのロリコンだった。


「……コイツ退かしておくので、馬車の運転を再開してもらっていいですか?」


「は、はい。大丈夫です……」


 ちょっと操縦者さんに引かれた気がした。







「まったく……ペドったら……」


 事情を説明すると、ユリアは頬をふくらませて怒っていた。


 また牢屋確定かなこれは。……いや、一度抜け出したんだからもう牢屋は効かないかもしれないな。


「そろそろ制裁内容をランクアップさせて○○○(ピー)した方がいいかな……」


 んっ、んー? ユリアさん? 何か物騒な発言が聞こえた気がしますけど気のせいですか?


 ま、まぁ、そんなに酷いことはしないだろ。……多分。


 さて、そんな事よりもそろそろ王都が見えてーー。


「…………え?」


 誰かがそう声を漏らした。もしかしたら無意識に俺が声を漏らしていたのかもしれない。


 だが、今は誰が声を漏らしたかなど確認する気にもなれなかった。何故ならーー。


 ーー王都から大量の煙が上がっていて、こちらへと逃げてくる馬車が沢山見えたからだ。


このタイトルで後半シリアスとか似合いませんね!!(自虐)

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