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誘い3

深夜テンションで書いたものがあまりにも酷かったので直してから投稿しました()

 日程が決まったら改めて伝えに来るとユリアに言って、俺は王都に戻ってきた。


 ……しかし、まさかペドがあんなに偉い立場だとは思わなかったな……。


 天才とも言われてたけど、ペド自身は世話係になるのに血のにじむような努力をしたと言っていたし、才能型の天才じゃなくて、努力型の天才なんだろうな。


 ……ほんと、ロリコンじゃなければユリアに好きになってもらえる余地があっただろうに……。


「アイツ、何かと惜しいんだよなぁ……」


「何が?」


「え? いや、だからペドがロリコンじゃなければーーーーーーん?」


 いや待て。誰だ今の。


 声が聞こえた方向にバッと振り向くと、そこにはいつの間にかファルが立っていた。


「久しぶり。元気にしてた?」


「元気どころか驚きすぎて心臓止まるかと思ったんだが」


「えへへ……それって私と会えたのが死ぬほど嬉しかったってことだよね?」


「俺の母さんみたいな思考回路になるのやめてくれ」


 俺がそう言うと、ファルはクスクスと笑った。多分、さっきの発言は冗談だったのだろう。


 俺は溜め息をついたが、この前の事でファルにお礼を伝えていないことを思い出し、口を開いた。


「そういえば、ガル街の事だけどありがとな。滅茶苦茶助かった」


「どういたしまして。お礼は婿入りでいいよ?」


「要求されたお礼のハードルの高さが異常なんだが」


 さらっと恐ろしいことを言うんじゃない。


「むー……やっぱりまだ駄目?」


「いや、まだというか何というか……。そもそも俺はまだそういうことが考えられないと言いますか……」


「そっか……」


 ファルはそう言うと不意に俺に近付き、俺の肩に手を置いた。その後ぐいっと俺を引き寄せ、耳元で囁いた。


「ーーなら、そういうことしか考えられないようにしてあげようか?」


 ……一瞬、思考が停止した。


「いや! まっ……ちょ……! お、おま……お前、何言ってんだよ!?」


 思考を取り戻した俺が反射的にファルの肩を掴んで突き放すと、ファルはむくれながら俺の顔を見た。


「だってアル君、こういうことでもしないと興味すら持ってくれないでしょ?」


「そ、そんなことはないけど……」


「ふーん」


 疑うような視線を向けてきたファルだったが、一度溜め息をつくと、俺の方を見てニヤニヤしだし、


「まあ、今ので私を多少なりとも意識してくれたみたいだから許してあげましょう」


「ぐっ……」


 何か負けた気がするぞ……。なんだこれ……。


 とりあえずこのままこの話が続くのはマズイ気がする。何か別の話題をーー!


「……そ、そうだ! そういえば何人かでマルーン街の温泉に行こうと思ってるんだが、ファルも来ないか?」


「え? 温泉?」


 ……あ。言った後で気がついたけど、王女様っていう立場のファルが、簡単に王都の外に出れるわけがないよな……。


 予想通り、ファルには事情があるようで、暗い表情になった。


「ごめんアル君。私、そういうことはーー」


「あ、いや。こっちこそごめん。配慮が足らなかっ……」


「お父さんを(せっとく)して工作し(許可をもらわ)ないといけないから、ちょっとだけ時間かかっちゃうけど、それでも良い?」


「あ、ああ……。大丈夫だ」


 何故だろうか。どこか深い闇を感じた気がする。


「そうと決まったら早速動かないと! 詳しい日程は決まってるの?」


「いや、それはこれから決めるからまだなんだ」


「そっか。それならとりあえずいつでも大丈夫なように嘘をついて(説得して)おくね!」


 言ってることはまったくおかしくない。おかしくないはずなのに……どこか寒気を感じる。


「じゃあまたね! また会いに来るから!」


「あ、ああ……。またな……」


 手を振って走っていくファルに、俺は手を振り返した。


 女性は怖い。何故かそう思った一時(ひととき)であった。

ヒロインのアプローチがどんどん強くなってきました。


これに比例して、それを嗅ぎ付けたどこかの母親が怒り心頭になっているかもしれませんね()

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