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調査開始

翌日、俺は冒険家ギルドへと向かっていた。


理由はあの邪龍の詳細を調べるためだ。

魔物のことなら、冒険家やギルド役員の人達が

一番知っているだろう。


そう考えてのことだった。


早速ギルドに着いたので誰か聞けそうな人を

探そうとしたが、朝早すぎたのか、

冒険家の人達はあまり居なかった。


しまった...農民の朝は家畜の世話とか

畑仕事があるから早いけど、冒険家の人達が

それと同じくらいの時間に起きるとは

思えないってことに今さら気がついた...。


とはいえ、ギルド役員の人達はちらほら

見かけるので話を聞いてみるが、これと

言って有益な情報は得られなかった。


あれ? そういえばヘレンさんが見当たらない。

昨日はこの時間には居たのにな。


不思議に思ったので他のギルド役員の人に

聞いてみると、どうやら今日は体調が

優れないので休ませて貰ったらしい。


昨日会ったときはそんな風には見えなかったので、

周りに体調が悪いのを悟られないように勤務

していたヘレンさんが改めて凄いと思った。



結局、ここではほとんど情報は集まらなかったが、

まだ手段は残されている。


図書館だ。


図書館にならきっと邪龍のことが記されている

本があるはず。


とは言え場所は知らないので、適当に

誰かに聞くか。


俺は目の前を通りかかった商人の男に

話しかけた。


「すみません、ちょっといいですか?」


「あ、はい。 なんでしょうか?」


「図書館の場所知ってますか?

知ってたら教えてもらいたいんですけど」


「ああ、それなら向こうの角を

左に曲がって、そのあと今度は5つ目の

角を右に曲がってください。

最後に3つ目の角を左に曲がれば図書館です」


「わかりました。 ありがとうございます。

それでは!」


「あっ、図書館は―――」


俺は礼をすると聞いた場所へと走り出した。

(ここで本気で走るとヤバイので、軽めにだが)


後ろから声が聞こえた気がするが、

恐らく気のせいだろう。


図書館に到着し、その大きさにしばらく

呆然としていたが、そんなことをしている

暇はないことを思い出し、扉に手をかけた。


ガチャン


「え?」


開かない? 何で?


顔を上げると、扉に貼り紙がしてあった。


『開館は10時からです』


「まだ開館前なのかよ!?」


俺は急いできた意味が無かったことに

若干落ち込みながらも、開館を待つことにした。















―――――――――――


10時になり、図書館が開館すると、

俺は一番に中に入った。


予想以上に本が大量にあり、探すのには

骨が折れそうだ。


だが、『植物関連ゾーン』や『魔物関連ゾーン』

など、本の内容によって、本の置く場所を

分けてくれてあるので、かなり探しやすく

なっているはずだ。


『魔物関連ゾーン』に行くと、さらに

『ゴブリン関連ゾーン』や『オーク関連ゾーン』

など、魔物の種類によって分かれており、

俺は『龍関連ゾーン』に向かい、邪龍に

ついての本を探し始めた。


「邪龍、邪龍...と」










数時間後、『龍関連ゾーン』には

お目当てのものがなかったので、もしかしたら

他の魔物ところに紛れ込んでいるかもしれないと

思った俺は、全ての場所を何度も探したが、

邪龍についての本は見つからなかった。


どこにあるんだろうか。

もしかしたら無いパターンなのか?


一応係員に聞いてみて、それで無いようなら

また別の方法を探そう。


俺は受付(本の貸し出しなどをするところ)に

向かい、座っていた、受付のおばさんに

聞いてみることにした。


「すみません、邪龍についての本を

探しているんですが、どこにあるんですか?」


それを聞いたおばさんは、溜め息を吐き


「残念だけど、アンタに見せることは

出来ないよ、あの本は特定の階級以上の方々に

しか入室できない部屋に置かれてるからね」


何で邪龍の本がそんな機密情報みたいな

扱いになってんだ?


俺が怪訝そうな顔をしていると、

おばさんは何を察したのか


「まあ不思議に思うのも無理はないよ。

十年ちょっと前までは普通に公開されてたからね。

だけど、いきなり邪龍の本がもう一冊追加されたと

同時に、あの本はあそこの部屋に入れられたのさ」


そう言いながらおばさんは厳重そうな

扉を指差していた。


「どんな事情があるのかはわからんが、

悪いが諦めてくれるかい?」


「そういうことなら仕方ないです。

それでは―――」


と後ろを振り向こうとしたとき


「あれ? アル君? どうしてここに?」


ファルが声をかけてきた。


「お...王女様!? 何故こちらに...?」


おばさんが驚いていたが、もちろん

俺も驚いていた。


「ファル、どうしてここに?」


「もちろん、調べ物だよ? そういう

アル君こそ、お困りの様子に見えたけど

どうしたの?」


「実は知りたい情報が書かれてる本があるんだが

あそこの特定の階級以上の人しか入れない

部屋にあるってことで俺には見れないらしいんだ。

だから帰ろうかと思ったんだよ」


「ふーん、そっか。 

あの、私の権限でこの人のこと入れてあげて

くれませんか?」


「「えっ!?」」


俺とおばさん、二人して声をあげた。


「ええええええ!? そんなの有りなのか!?」


「一緒に部屋に入るのであれば

可能ですが...」


「なら、私も一緒に入るので許可を

お願いします」


「は...はい、それでは少しお待ちください」


おばさんは席を立ち、どこかに行くと、

許可証と鍵を持って戻ってきた。


「これをどうぞ。 それではごゆっくり...」


口調は冷静を保っているが、おばさんは

俺の方を見て『あんたは何者なんだい!?』

と言いたげな目を向けていた。


「さ、アル君。 行こっか」


「あ、ああ...」


ファルは扉の前に着くと、慣れた手つきで

扉を鍵で解錠した。


「さぁさぁ、ここが王都の機密情報が

たっくさん集められた部屋だよ」


ファルは解錠した扉を開けると、

扉の横に立ち、『お先にどうぞ!!』と

言いたげな顔と素振りをしているので、先に

入らせてもらった。


中に入ると、係員でもあまり入れないのか、

あまり掃除が行き届いておらず、

少し埃っぽかった。



ここに...邪龍の本があるんだな。

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