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変態(の)教育

 黙々と進んでいくペドの後に着いていくと、少し不気味な雰囲気の森へと到着した。


 その後も少し歩き続け、ある程度開いた場所まで来ると、ペドは足を止めた。


「よし、ここで練習をするとしよう」


「それはいいんだけど……。……ここまで来る必要あったのか?」


 俺の言葉にペドは呆れたように大きな溜め息をつくと、


「当たり前だ。潜在的な力を外に解放するというのは、やり方を間違えればかなり危険なことだ。貴様ほどのやつが万が一力を暴走させるなんて事があれば何が起こるかわからんのだ」


「な、なるほど……」


 そんな事全然知らなかった……。ペドが練習を見てくれるなんて言わなければ大変なことになってたかもな。

 

「では早速始めよう。まずは普通にやってみてくれ」


「わかった」


 ペドに言われた通り、俺はルリとヘレンさん得たヒントを元に、力を集中させ始めた。


 力を体の中心に……体の中心に……。 


「止めろ」


「え?」


 やり始めてすぐに静止するよう言われ、俺は目の丸くした。


「貴様は何をしている?」


「何って、体の中心に力を周辺でさせて……」


「その体の中心とはどこだ?」


「それは……」


 大体胸の真ん中辺りだろうか? いや、みぞの辺り? 


 俺が唸りながら考えていると、ペドは察したような表情になり、


「大方、″大体この辺りだろう″という曖昧なところに力を集中させていたのだろう? そんな考えでは、力の扱いに慣れんうちは力が上手く一ヶ所に集中はせんぞ?」


「うっ……」


 ペドに心中を見破られ、俺は何も言えずに言葉を詰まらせた。


「だが、だからと言って心臓の辺りに集中させてみろと言っても中々わかりにくいだろう?」


「た、確かに……。なら、どうすれば……?」


「簡単なことだ」


 そう言うとペドは自分の手で心臓の辺りをおさえた。


「私と同じことをしてみろ」


「? こ、こうか……?」


 俺はペドの見よう見真似で、おそらく心臓の位置であろうところに手を置いた。


「それで良い。それならわかりやすいだろう?」


「え? あ……何がだ?」


 ペドは理解出来ていない俺を見て溜め息をつくと、


「その状態のまま、手でおさえている位置に力を集中させてみろ」


「わ、わかった……」


 ペドに言われた通り力を集中させて見ると、不思議といつもの数倍くらいの力が集まってきた。


「お、おお……!? なんでだ……?」


 俺が驚いていると、ペドは得意気な顔をして俺の腕を指差した。


「そこに目印を作ったからだ」


「目印……?」


「ああ、ただ心臓に力を集中させようとすればおおよその位置しかわからなくてあやふやになるが、今触っているところに力を集中させようとするのならば力を集中させる場所が明確な分、力を同じ場所に集めやすい」


 なるほど、だから手でおさえろなんて言ったのか……。


「慣れてくれば完璧に力を使えるようになるはずだ。だが、実戦では手でおさえて力を集中させる暇などない。だから手を使わずとも出来るようにしておくことだ」


「……なんか、教えるの上手いんだな……」


「当たり前だろう!? なんたってユリア様にわかりやすく色々と教えられるように努力してきたのだからな!!」


「下心満載じゃねぇか」


 まともに見直しそうになった俺の感動返せ。


「きっかけはどうあれ、結果が全てだ! 現に私は世話係にまで登り詰めたのだからな!!」


「お、おう……その点に関しては素直に凄いと思うわ……」


「そうだろうそうだろう!! なんたって私はユリア様の為に――」


 ペラペラと捲し立てるペドは間違いなく幼女趣向ロリコンではあるのだが、それとは別にユリアに対する忠誠もこれまた間違いなく本物だろう。


 中々癖の強い人物ではあるが、ユリアの近くにペドを配属していたユリアの父親の気持ちが少しだけわかった気がした。 

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