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「ガギャアァァァァァァァァァ!!」


 攻撃が全て通るようになったことにより、合成魔獣キメラは先程よりもさらに激しく暴れ始めた。


 だが、ルリは冷静に合成魔獣キメラの攻撃を回避しつつ剣や魔法でダメージを与えていた。


「ルリ! 俺も加勢する!」


「なら僕は前から攻めるから、アルは後ろから挟み撃ちにする形で攻めて!」


 攻撃が激しいであろう前方をルリ任せるのは少々気が引けるが、まだまだ俺の実践経験は乏しいため、前方で変なことをしてルリに迷惑をかけないためにも俺は後方での攻めを了承した。


「わかった! 前方は攻撃が多いだろうから気を付けろよ!」


「うん!」


 そう声をかけている間にも、合成魔獣キメラの攻撃は激しくなっていく一方だった。


 俺は少しでも合成魔獣キメラの狙いをこちらに向けるために、拳を背中に打ち込んだ。


「ゴギャッ!?」


 余程ルリに攻撃するのに夢中だったのかルリと話していた俺の存在に気づいていなかったようで、無防備な背中に拳を当てることが出来た。


 合成魔獣キメラはジロリとこちらを向き、その隙にルリが合成魔獣キメラに接近して、3つの頭のうちの一つである牛の頭を切り裂いた。


「ギィガァァァァァァァァァァァ!?!?!!」


 あの様子ではもうあの頭は使い物にならないはずだ。


「ルリ! この調子で行こう!」


「うん!」


 攻撃が通じるようになった合成魔獣キメラは最早脅威な存在ではなくなり、こちらが一方的に攻め上げていく事が出来た。


 翼はボロボロになり、鱗は剥がれ、3つあった頭は龍の頭だけになったが、未だに合成魔獣キメラは倒れず、再度ブレスを吐こうとしたが、そこにルリと俺がそれぞれ一撃を打ち込んだところでようやく合成魔獣キメラは地に倒れこんだ。


 すでに立ち上がる力はないようで、合成魔獣キメラはピクリとも動かなかった。


「お、終わった……」


 今までの疲れが一気にどっと来た俺は、その場に尻餅をついて座り込んだ。


「お疲れ様、アル」


 近づいてきたルリは汗ひとつかいておらず、特に疲れている様子もなかった。


「……何で疲れてないんだ?」


「僕は戦いに慣れてるから!」


「それもそうか」


 俺も早く追い付かないとな、とルリに声をかけて立ち上がったとき、リンクさんの声が聞こえてきた。


「よかった! やりましたねお二人とも!」


 先程隠れていた木の影からリンクさんが出てきて、こちらへと駆け寄って来た。


 リンクさんは俺達の目の前まで来て息を整えたあと話し始めた。


「一時はどうなることかと思いましたけど、お二人のおかげで無事に帰れそうです! ありがとうございます!」


「いえ、むしろこっちが感謝する方ですよ。リンクさんが居なければ勝てませんでしたし。というか、まさか二回連続で当たりモンスターを分離さてくれたのは本当に助かりました」


 俺がそういうと、リンクさんは得意そうな顔になり。


「だから言ったじゃないですか、私は運が良いって」


「どっちかっていうと悪運が強い気がしますけどね」


「それはちょっと酷くないですかね!? ……まあ、否定はしきれませんけど、でもそのおかけでこの合成魔獣キメラを倒せたんですからもう少し私に感謝を――――――」


 言いながら合成魔獣キメラの方を見たリンクさんが、いきなり言葉を止めた。


 嫌な予感がして合成魔獣キメラの方を見ると、今まで見たこともないくらい口にエネルギーを溜めた合成魔獣キメラがこちらを向いていた。


「っ!? まだ死んでなかったのか!?」


「これ、最後の力を振り絞って残ったエネルギーを全部ブレスに使うつもりかも!! 今から逃げても間に合わ――」


 ルリの言葉が終わる前に、合成魔獣キメラより最後の一撃(ブレス)が放たれた。

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