表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/223

それぞれの戦い

 ルリは一人で洞窟の奥へと向かっていた。


 モモガロスが追ってこないということはアルが頑張って食い止めていてくれているということだろう。


 正直、この奥にネメシスは居なくて、無駄足の可能性だってあった。


 それでも、ルリはこの奥にネメシスが居るということを直感で感じていた。


(この奥にきっとネメシスは居る……、例え親族(あの人たち)に助けを拒まれたとしても関係ない! 僕はこの世界のためにネメシスを倒すんだ!)


 意気込んだルリは、そのまま洞窟の奥へと向かっていく。奥に入り込んでいくにつれて、段々と外からの光が入り込まなくなり、暗くなっていく。


 だがルリはそんなことを気にすることもなくそのままぐんぐんと進んでいく。


(この洞窟……中々深いんだね……)


 一体どれほどの深さがあるのだろうか。そうルリが考えていたときだった。


「……あれ?」


 今まで暗い道を通ってきたと言うのに、目の前には、薄暗い紫の妖しい光で照らされている部屋があった。


「ここは……?」


 キョロキョロと周りを見渡すと、壁に張り付けられながらも驚いた表情でこちらを見ているナンシーと、その息子達が居た。


「どうして貴女が!? 貴女に憐れみを持たれる謂れはないのよ!?」


「僕は別にナンシーさんたちのために来たわけじゃないよ」


「え?」


「僕は――」


「おやおやおや!?」


 ルリが言葉を発しようとしたとき、ルリの背後から聞き覚えのある者の声が聞こえた。


 ネメシス――ルリは振り返ると、彼の姿を眼中に捉えた。


「やっぱり……ここに居たんだね」


「ほぉ!! わかっていながら来て頂けたとは! こちらから行く手間が省けて助かりましたよ! 貴女の場所もすでに用意してあるのでどうぞあちらへ!」


 ネメシスが手を伸ばし誘導した先には、拘束用の用具と、この部屋を妖しく照らしている石が、規則正しく壁や床に並べられていた。


 よく見てみれば、ナンシー達のところにも石が規則正しく置いてあった。


「私はオシリスさんのように自分の力だけでは降ろせませんからねぇ……、このように道具を用いて儀式を行わないとならないのですよ」


 やれやれと面倒臭そうにしながらネメシスは言ったが、ルリはその様子を見ながらも剣を引き抜いた。


「……おや? 自分から依代に成りに来てくれたのではないのですか?」


「当たり前だよ、僕は自分から死のうと思うほど馬鹿じゃない」


「そうですか、ですが、貴女には是非とも依代になって頂きたいので考えを改めて頂けませんでしょうか?」


「嫌だね、絶対に」


「そうですか……、それでしたら仕方有りませんな……実力行使と行かせてもらいましょう!」


 向かってくるネメシスに対して、ルリは剣を構えた。




―――――――――――――


 一方そのころ、俺は洞窟の入り口でモモガロス達から逃げ惑っていた。


 倒そうとは思ったのだ、立ち向かおうとは思ったのだ、だが、モモガロスの目の前まで迫ったと言うのに、モモガロスを自分から避けてしまった。それからと言うものの、ずっとモモガロス達から逃げていた。


 不幸にも……、いや、幸いモモガロス達は洞窟の入り口には目もくれずに俺を追ってきているので、一応洞窟にコイツらを入れないという目標は達してはいるが、それでも俺のメンタルが持つ気がしなかった。


 コイツらには触れたくない……でも倒さないと……


「……あ」


 そういえばひとつあるじゃないか。遠距離から倒す方法が!


 俺はモモガロス達の方に振り返ると、目の前の地面に向けて手を伸ばした。


「出てこい! ツタ!」


 しかし、ツタは出てこなかった。


「嘘だろ!? 出てこい!」


 何度やっても地面からの応答はない。憐れ、俺はツタに見捨てられたのだ。


「……」


 動揺したモモガロス達は一瞬止まってくれていたのだが、単のハッタリだと思ったのか、すぐに追跡を開始してきた。 


「ちくしょおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


 そう、まだ俺の逃走劇は始まったばかりなのだ。俺たちの戦いはこれからだ!

※まだ完結しません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 銛突きや漁師秘伝技とか竜ですら屠る技があるのに、森来る前に手投げ槍とかいくつか準備してこないのは何故なん? そもそもいっつも手ぶらだし。馬鹿なのか? としか思えない。 物語の進行速める…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ