不慣れな不逞の輩
ここまでお読みいただいてありがとうございます。
キャサリアとマリアの同行は、許されるのでしょうか?
ではでは~
「陛下、閣下。このタコー、お嬢様方のお心を向けられることには、・・・なっております」
「なんと。タコー、貴様、わが娘を謀るつもりか!!」
キャサリアパパが叫ぶ。
「と、言われてましても。本当なら、別にいりませんが」
「主様、なぜそのようなお言葉を」
膝を落とすキャサリア。
「タコー。ひとつ確認しておきたい。ジョシティアの文にあった恩人は・・・」
「タコー様でございます。陛下」
「マリア」
マリアの言葉にタコーの功績を推し量る国王。
「父上、キャサリアは、タコー様とお会いできてよかったと思っています」
「キャサリア・・・」
「マリア。君もか」
「はい、人の出会いは、不思議でございますね、陛下」
「マリアー。考え直してくれよー」
「陛下、わたしは、殿方の好みはうるさい方だったみたいです」
「えー、俺、国王だよ、背も高いし、美形だよ」
「チッ」
「あー、今、舌打ちしたよね。ボク国王だよ、えらいんだよ、年上だよ」
「クフフ。陛下、殿方の素晴らしさは、それ以外にあるものと思いますわ」
唇から覗く彼女の舌は艶っぽく、何か意味を持っていた。
侯爵は、いよいよ負の感情を抑えきれなくなっていた。
腰の剣に手をかける。
目の前の中年男が、知らないうちに愛娘と妹分の貞操を奪っていた。
キャサリアが拘る理由が明確となり、思考にかかっていた靄が晴れた。
こんな男に・・・、こんな冴えない中年男に隣国の姫とコッカ様、憧れたお二方の身内のココモ殿までが騙されているに違いない。
今、この男を成敗するのが、王国にとって、世界のためになると確信した瞬間、無意識に剣を抜いていた。
「父上!陛下の御前です!」
「言うな。今ここでこいつを斬り捨てるのが、世の中のためだ」
「キャサリア、止めなくていい」
タコーは、キャサリアを制止する。
「ほう、潔いな」
侯爵は、切っ先をタコーに向ける。
「で、閣下は何をご希望なんですか?」
タコーは少しも怯まず、侯爵に問いかける。
「娘を、マリアを、殿下たちを開放してもらおう」
「最初から何もしていませんけど、いいですよ」
「え?」
要求にあっさりと応えるタコーに戸惑う侯爵。
「ち、父上!余計な口出しは無用です」
「キャサリア、お前は騙されているのだ」
「そうそう、侯爵のいう通りだ」
「主様、その言葉は、あまりにひどい」
「キャサリア、目を覚ませ」
「侯爵が正しいぞ」
「父上、どうしてわかってくれないのですか!」
「お前は、初めての男に舞い上がっているんだ」
「そうだ、侯爵には心当たりがあるんだろう」
「ダディ、そうなの?」
「な、何をいう。わたしは、妻一筋だぞ」
「旦那様、お妃さまとお付き合いされていたのは嘘だったのですか?」
「うう、マリア、横やりは無しにしてくれ」
侯爵は、交際歴の暴露で不意打ちを食らうことになった。
「わ、わたしは、まじめに交際したんだ」
「そうでしたわね、あなた」
「・・・」
夫人の一言で、血の気が引いていく侯爵。
「あなた、キャサリアもマリアも愚かではありませんわ」
「いえいえ、侯爵夫人、わたくしは極めて不道徳ものでありますゆえ「タコー様は、嘘が下手ですね」」
「マミィ」
「お姉さま」
= = = = =
話しに乗り遅れている3人は諦めてお茶を飲んでいた。
「また、アニキったら、あんなこと言ってぇ」
「仕方ないわ。タコー様はちょっと捻くれてるんですもの」
「フィーは、もう慣れた」
軽く溜息を漏らして、事の成り行きを眺めていた。
= = = = =
「あなた、キャサリアの好きにさせてあげて」
「おまえ、この男に肩入れするのか?」
「見たでしょ? タコー様は、キャサリアのために手で受け止めたのよ」
「それは、治せるからだろう」
「そうね。でも、咄嗟にそこまで考えて動けないわよ」
「・・・あ、ああ。そうだな」
「タコー殿、どうか、キャサリアを不幸にしないでやってくれ」
「タコー様、わたくしからもマリアともどもお願いします」
夫婦揃ってタコーに頭を下げる。
「まあ、ついてこいとは言っちまったからな」
やれやれと努力虚しく道連れが増えたタコー。
「主様」
「タコー様」
キャサリアとマリアの表情に安堵が宿る。
「あーあ、アニキってば、すぐに流されるんだからー」
「仕方ないですね。でも、宿は苦労しますよ」
「にぎやかが好き」
義姉妹もどことなくホッとした表情だった。
「マリアー、側室はダメなのかー、妃も待っているんだけど」
「陛下・・・」
「マリア・・・」
見つめ合う国王とマリア
(おっ、まだ脈があるのか?)
「お妃さまには、出発前にご挨拶に参ります。マリアは幸せ者です」
マリアの微笑みには、一片の曇りもなかった。
いかがでしたか?
タコーは、身内に優柔不断でした。
ふたりともそれなりに手練れということもあります。
次話をお待ちください。




