ココモの帰還 その3
「男」がココモの家に招かれました。
朝ごはんはごちそうしてもらえそうです。
ココモの家族が初登場。
ここまでお読みいただき誠に感謝いたします。
ご感想などお聞かせいただくと参考にさせていただきます。
よろしくお願いいたします。
「あー、かあ様は座ってて。ボクが朝ごはん準備するからぁ」
「あらあら、珍しいこともあるのね」(クスクス)
「そんなことないよ////、いつもと一緒でしょ」
「そうおぉ、いつも一緒に支度をしていたと思ったけどぉ」
「いいの、今日はボクがするから、座ってて。ああ、アニキはお客さんだから、遠慮しないでね」
かまどの火加減を確認しに台所に戻るココモ。
「ココモを助けていただいて、ありがとうございました」
「あ、あ、いえ。お礼をいタだくほどのことはしていません」
「あの子が・・・いえ、わかります。その辛さから助けてくださったのは・・・あなたですよね」
「・・・」
「女にしかわからないことはありましてよ」
「・・・すみません」
「気にすることはありません。あの子を見て、母親として感謝しています」
「しかし」
「そんな気持ちはなかったのですか?」
ココモ母の言葉から感情が消える。
「有るといっても、それは手前勝手でしかありません。私は卑怯です」
男の言葉と真摯な態度を観察し、ココモ母は沈黙していた。
男は居心地の悪いままココモの朝食の準備を眺めていた。
その隣にはそれを静かに見守る母がいた。
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二人のオーク(女)が仕留めたイノシシを2匹づつ担いで山道を下っていた。
= = = = =
「準備できたよぉ」
「まあ、今日はおいしそうにできたわね」
「いつもと同じだよぉ。ささ、たくさん食べて」
「ああ、ありがとう。いタだきます」
「「?」」
「何か、失礼なことをしタ?」
「う、うんうん。変わったお祈りだなって思ったの」
「あなたは、どちらかの修行僧の方ですの?」
「えー、いえいえ。故郷の習慣です。特に宗教的に意味はありません。作ってくれた人、食べ物に感謝する気持ちです」
「「ほー」」
顔だちの整った母子が興味津々で男の挙動を観察する。
姉妹でも通りそうな二人を前に一口スープを口に運ぶ。
(このままだと味が判らんかもなあ)
「うまい、いや美味しい。これほど美味しいのは久しぶりだ」
「---、そう。よかった」
耳まで赤くなったココモが素っ気なく横を向く。
「ココモちゃん、よかったねぇ、かあ様、涙がでてきちゃう。ヨヨヨ」
ニコニコしながら、泣き真似をする母。
男には、二人のやり取りは意識の中に無く無言で朝食を平らげた。
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「「てめえは誰だぁ!!」」
男は食後の白湯を飲んでいるところを二人のオーク(女)に襲われた。
オーク二人の拳をかろうじてかわし、家の外に転げ出た。
男には、後ろから戦斧が襲い掛かってきたのが見えた。
とっさにオークの懐にもぐり込み一撃をかわす。
横からの拳は避けきれず、わき腹に一撃を食らい吹っ飛んだ。
一人一人でも必殺の戦闘力だろうか、その二人のコンビネーションは
息がぴったりで、白兵戦においては無敵の領域だった。
わき腹の一撃はかわせないと判断した男は、とっさに身体を浮かせることで、
破壊力を逃がすことができた。
ゴロゴロと転がりその勢いのまま、男は立ち上がり駆け出した。
オーク二人はそれを呆然と眺めていた。
人間ならある二人を除いて仕留め損ねるなぞ信じられなかった。
二人がかりで必殺の間合いから逃げられた。
「「!!!」」
「「おらー、待てゴォラー」」
男は後方の怒涛から逃げる方法を巡らせていた。
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挨拶に訪れたジャルーンの目の前を脱兎のごとく逃げる見覚えのある男と
それを追う二人のオークが通り過ぎた。
(あのお二人なら心配いらぬな)
ジャルーンはそのまま踵を返し、村長に家にもどることにした。
しばらくして、オーク(女)二人にボコボコにされる男が村人によって目撃された。
宴の準備で忙しいので、特に誰も気にしなかった。
男がココモのウチに帰ってきた。ただ、自分の足ではなく、雑巾のようにボロボロで娘におんぶされていたのが残念かもしれない。
ココモ母登場です。
関係者らしきオーク(女)二人が乱入です。
この二人をジャルーンが知っていました。
続きをお楽しみに。