大根役者
お読みいただき感謝です。
さて、道連れが増えます。
ではでは~
「統領閣下から許しが出たみタいだけど?」
「・・・わたくしは」
「ほら、君は、君が考えていタ以上に尊重されてタみタいだぞ」
「タコー様」
「答は、君が出さないとな。あと眼を潰せとか言ってあげるな。きっと、寂しくなっているからな」
「じゃあ、あとは2人を残して、一旦退場ー、護衛はどうする?」
「タコー殿、立ち会ってくれぬか?」
「えー、俺は、他所者だしなー」
「どうか、頼む」
「あー、わかりましタ」
= = = = =
会食の間は、3人だけになった。
統領に何か起きても避けられない状況となった。
「さーて、始めようか」
「タコー殿?」
会話も終わらない内にタコーは統領の関節を決めて、抑え込んだ。
「閣下、人質になってもらうぜ」
「な、何を!」
統領は予期せぬ事態に動揺した。
「俺はなあ、アイハイロードの咎人なんだよ」
「閣下を離せ!」
オーガが主人を助けようと構える。
「わたしに何かあったら、フィーを頼む!あれはまだ若すぎる。護ってやってくれ」
統領が若いエルフの将来を古い付き合いのオーガに託す。
統領がオーガにかけた声がまるで叫びだったので、控えていた者たちが広間に駆け込んできた。
「「「「閣下!!」」」」
「アニキ!?」
「タコー様!」
「主様!ご乱心ですか?」
全員、驚くしかなかった。
「おー、みんな、お疲れさん。俺は、このまま逃げるから後を追ってくるんじゃねえぞ」
そういうと、皆に見えるようにタコーは統領の腕に針を刺した。
「あ、あれは毒針!」
刺されたキャサリアが思わず声をあげた。
その場に居合わせた者たちが硬直する。
統領の顔色がどんどん悪くなり、呼吸が不規則になっていく。
容態が悪化する統領に皆が気を取られた瞬間、脱兎のごとくタコーが逃亡し、護衛の小神族が追いかけるも見失ってしまった。
「ヤツはなぜこんなことを!」
「やはり、人族は信用できない」
「追っ手を出して、ヤツを永久の呪いに封じ込めるのだ」
小神族は、口々にタコーを罵る。
「わたしが行く」
フィーが名乗りを上げて、数名の手勢を率いて飛び出していった。
= = = = =
「タコー殿に感謝だな」
「閣下」
「お前は、タコー殿より私を選んでくれた」
統領は使用人と静かに会話していた。
ココモの施した解毒により、統領が瞬く間に回復していた。
毒自体薄くされていて、一時的に体調が悪くなる程度でもあった。
「もう、アニキってば、やることがギリギリなんだから」
「ほんと、びっくりしました」
「あのー、主様は逃げてしまわれたのでしょうか?」
「あー、大丈夫、大丈夫。どこかで合流するよ」
「そうですね、タコー様のことですから、アイハイロードに着くまでには」
「お三方、タコー殿の芝居に感謝したい、何かできないか?」
統領は、タコーがわざと悪役を演じたことに感謝した。
「じゃあ、フィーさんに閣下が無事なのを知らせてください。アニキが封じ込められる前に」
= = = = =
タコーは予想外に追い詰められていた。
タコーには、リフィから加護を与えられ、《不可視》を自在に操れていたのだが、
フィーは見えないにしても気配を感じ、当たりをつけて攻撃を繰り出してくる。
間近に矢を射かけられ、ギリギリ躱すというありさまだった。
(おいおい、リフィの法術は破られていないのにめちゃくちゃヤバいぞ)
「観念することを勧める。素直に出てきたら、苦しまずに封じ込める」
(こらこら、封じ込められたら、苦しいだろ)
「こっちか?」
(ギク!)
フィーは、タコーに手が届きそうな位置まで来ている。
(ちょっと待てよ。不可視だが、匂いでバレてるのか?)
タコーは試しに風下を目指して移動する。
するとフィーの今までほぼ正確だったあたりを付けた攻撃が止んだ。
暫くすると風下に意識を向けだした。特に音を意識するように目をつぶる
(ビンゴ。だったら、デコイで遠くに行ってもらおう)
タコーは、足元の小石や木っ端を拾い上げ、木の裏に隠れて、少しずつ投げ始めた。
かすかに聞こえる音を頼りにフィーそしてその手勢が最後に投げた小石の落下した場所に誘き出されていった。
(ふー、一息つけるな。さて、全速で逃げますか)
タコーは今まで、潜んでいたのを台無しにするほどの勢いでその場から逃げだした。
「なんだ!謀られた!ヤツはあっちだ、追え追え!」
小神族たちは、タコーを足音を追うように森をかけていた。
= = = = =
「ははは、さすがはタコー殿。フィーは手玉に取られておるな」
念視で、フィーの状況を確認し始めた統領が、楽しそうに独り言をごちる。
「統領ー、早く無事だって知らせてよ」
「そうですわ、閣下。タコー様の身に何かあっては取り返しがつきません」
「おお、そうであった。タコー殿が今手傷を負うとフィーが間違いなく封印してしまいますな」
ココモに促され、念話でフィーに話しかける。
(フィー、わたしは大丈夫だ。タコー殿が一芝居打ったのだ。いいか、よく聞くんだぞ。わたしは大丈夫だ)
= = = = =
(トト様。本当に大丈夫なのですか?生きているんですか?)
(ああ、大丈夫。それが証拠に、お前たちの誰も害されておらんだろ?)
(トト様、わたしはどうすれば?)
(こちらのお三方が、旅路に戻られる。お前は、そのまま付いていきなさい)
(トト様)
(タコー殿は、昨晩の通りのお方であった。お前の感じた通りであろう。今、帰ってきては置いていかれるかもしれん。そのまま、なし崩し的についてゆけ)
(トト様、ちょっと雑ではございませんか?)
(わたしも少し仕返しがしたいのだ)
(「えー!それでわたしは旅立つのですかー?」)
ギャーギャー、バサバサバサバサッ。鳥たちが驚いて飛び立った。
フィーは、念話の終わりに叫んでしまっていた。
「あ、居た、居た。フィーさん。閣下は無事だったでしょー」
ココモ達は、統領に聞いた大凡の場所でフィー達を見つけた。
= = = = =
「タコーさまー、もう出てきてくださーい」
「アニキー」
「主様ー」
呼ぶ声に何も帰ってこなかった。
『アニキ。もしかしてボク達を置いていっちゃったの?』
ココモがふと不安をつぶやいた。
いかがでしたか?
地政学的に少し説明不足ですが、
徐々に全体が見えてきますので
気長に読んでいただければ、嬉しいです。
次話をお待ちください。




