予期せぬ出会い
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お読みくださっている方々、誠にありがとうございます。
話は、牛歩のごとく進みますが、先は長いので申し訳ありません。
ご希望があれば、短編をスピンアウトいたします。
ではでは~
オーガは、差し出された肉と統領を交互に見た。
統領が頷いた。
オーガが恐る恐る肉を口に含んだ。
肉を噛みしめ、咀嚼し、ゆっくり味わった後、呑み込んだ。
オーガは、頭を低くし、皿を高く捧げるように持ち直した。
= = = = =
「えーと、その姿勢はもっとつらいだろ」
タコーは頬を掻き、オーガの予想外の姿勢に戸惑った。
突如、上座に座っていた老齢のエルフが立ち上がり、短剣を掲げ、大声で何かを叫びはじめた。
それに呼応するようにエルフ全員が立ち上がり短剣を掲げ、同じよう叫び始めた。
「な、なんだ。怒らせタのか?」
「古いエルフの言葉みたい」
ココモが解説する。
「ココモ、わかるのか?」
「なんとなくだけどね。アニキのしたことを褒めてるみたいだよ」
「剣を抜いてるよ」
タコーは、攻撃されないかと不安が隠せない。
武器は預けたままだった。
「あれ、じぃじ達の時にしてたよ」
「儀礼的なポーズか」
「アニキが自分のお肉をオーガにあげたでしょ?」
「まあ、大変そうだしな。飯が終わるまで、お預けきついだろ」
「それって、言い伝えに残ってる賢者がしたみたい」
「ふむ、それで褒められてるのか」
ホッとする小心者のタコーだった。
= = = = =
タコーは、小神族から次から次に酒を勧められ酔いつぶれてしまった。
実は、料理を一口も食べていない。空きっ腹に酒を詰め込んだ結果、当然と言えば当然だった。
「アニキ、お水」
「おー、ココミョ。ぷふー」
ココモの膝枕でタコーは水を飲んだ。酔って火照る身体にほどよく冷えた水が沁み込んでいく感じだった。
「フフ、アニキお酒臭いよー。みんなアニキにお酒飲んでもらって嬉しそうだったね」
「賢人にお酒をふるまうのは、儀礼だそうですからね」
コッカが、盃を傾け満足そうに話す。
「わたし、王国の行事でエルフとの会食に立ち会ったことはございましたが、これほどの歓待は初めて拝見しました」
キャサリアは、思わず感心してしまった。
「そうね。エルフは、他種族との交流には慎重ですからね」
「じぃじ達の時は、大宴会になっちゃったよ。みんな裸になって踊りだしたりしてさ」
タコーは、いびきをかいて寝てしまった。
= = = = =
タコーは目を覚ました。
「うえー、胃が気持ち悪い。って、むちゃくちゃ窮屈だな」
タコーはケンタウロスに挟まれるように寝ていて、頭をハーフオークに抱えられていた。
「おーい、みんなー」
タコーの言葉は彼女達には届かなかった。
幽香に包まれ、つぶやいた。
「あー、狭苦しー」
= = = = =
朝、タコー達は出発の準備をしていた。
服は、洗濯され清潔だった。
「やっぱり洗濯したら、袖を通すときに気持ちいいな」
「アニキ、こっち見ないでよ」
「タコー様、ココモが見て欲しいそうですよ」
「主様、その、ご所望でしたら、今からでも」
「キャサリア、俺の人格が疑われるようなことを言うな」
にぎやかな支度の最中に部屋に訪問者を迎えることになった。
「おはようございます。タコー様」
「お、おはようございます」
突然の訪問者は、エルフの美少年。
タコーはその容姿に思わず見惚れてしまった。
長い髪を後ろで縛って、装飾の施された甲冑で身を包んでいた。
一目で身分が高い少年だと察しをつけた。
(フィギィアみたいに美形だな。声はアニメ声だし)
「イテテテ。ココモ、ちぎれる、ちぎれる。抓るんじゃない」
「ぶー、アニキ、見境ない」
「クフフ、タコー様は、慕われておりますね。お三方から殺気を感じます」
「これは失礼。わタくしの人格が卑しいタめかと思います」
「タコー様の気高さは、昨晩、この里の者総てが知り憶えました。末永く口伝えていくことでしょう」
「えー、それは恥かしい」
「わたくしもタコー様の振る舞いに心酔しました」
「それは、生活習慣の違いなだけですから」
「ならば、なおさら」
タコーは、エルフの称賛に謙遜して返す。
「アニキ、鼻の下伸びてる」
「タコー様、お仕置きです」
「主様、裁判での証言、辞退したくなってまいりました」
「勘弁してくれよー」
= = = = =
統領達との朝食の席。
「タコー殿、フィーとは話されましたか?」
「ああ、先ほど部屋にお越しになりました方ですね」
「アレを同道させていただけないだろうか?」
(見聞を広めるのに同行させたいってことね。俺を信頼し過ぎだろう。まあ、若い者同士仲良くなってもいいしな)
「わタくしごときに身に余る栄誉です。喜んで一助となりましょう」
「タコー殿にそういっていただいて、このアーエルフルの民も喜びましょう」
「もう一つ、一言お願いしたいことがある」
統領の表情は、少し曇った。そして、言葉を続けた。
「あの者達が、タコー殿についていくと嘆願して参ってのぉ」
統領の視線の先に昨晩のオーガ、それとおそらくはその家族らが跪いていた。
「え゛?なんで?は、いえ!その、わタくしには、何事かわかりかねますが」
「いや、あの者は我が家に仕えておるのだが、タコー殿についていくと申して聞かぬ。もし聞き入れぬときは、不義理を罰して、眼を潰してくれと」
「で、閣下は目を潰すんですね」
「タコー殿、今までの振る舞いが大嘘だった初めて知った」
「嘘、嘘。冗談です!閣下としては、俺に説得して欲しいんですね?」
「おお、さすがは稀代の賢者、タコー殿!」
「持ち上げても何も出ませんよ」
タコーは、オーガのところに歩いていった。
オーガは、目を輝かせタコーを崇め見つめる。
「あのー・・・。養えないから無理!」
「いえ、わたくし共が働き、お仕えいたします。ぜひ、お供にお連れください。足りなければ、妻も娘も体を売ることも厭いません。お許しがあれば夜伽も。それが我が家の誉れとなりましょう」
「あー、あー、そういうのダメー。俺の評判がどんどん酷くなるから。君は、ここで閣下に仕えて、ここに来る来賓に俺の評判を広めてくれ」
「わたくし、タコー様にお仕えできないのであれば」
「君、そんなこと考えて、俺に嫌われタいんなら、それでいいよ?」
「は、う。・・・かしこまりました。アーエルフル様にお仕えいたします。ですが、わたくしの気持ちは、タコー様に」
「あのさー、今まで嫌々、仕えてたのなら、コレを機会に暇をもらったら?」
「いえ、そんなことは!」
「じゃあ、これからも仕えてよ。閣下、寂しそうだっタぞ。君に見放されタみタいに感じて」
「アーエルフル様・・・」
統領は話がひと段落したのを見計らって、寄ってきた。
「お前は、わたしの自慢でもあったんだが、暇が欲しいなら、暇を出す。好きにしていい」
いかがでしたか?
肉の話は、アフリカで聞いた話がもとになっています。
次話をお待ちください。




