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ハーフオークとの初対面

主人公は普通の男性で、旅人です。

日本名を持っています。


ただ、この文中ではわかりません。


客観的視点で物語は進みます。


エロくはないので、そういう期待はしないでいただきますようお願いいたします。

ココモ編


「いぁ・・・」

弱々しい声が、獣のような下卑た複数の哂いの中の薄められていく。


数人の子女がオークの群れに支配されている。


集落からはずれ、やがて徒党を組んだオーク達。

その筋力を振るい、山賊になりはて、今、薄暗い隠れ家の中で酒を飲み、奪ってきた食糧を食い散らかし、戦利品を味わっている最中だった。


近隣の村は、この山賊たちが隠れ家に居座ってから、略奪され、攫われ、焼かれて、荒らされていた。


領主の依頼で討伐隊も探索をしていたが、隠れ家を見つけられないでいた。


今日は、山賊が遠出をし、被害を受けていない離れた村を襲ったのだ。


「お頭、こんどの村ぁ、なかなかうざかったですな」

「おお、あんな村にてこずるとはなぁ」

「まあ、女子供だけ残ってるときに襲やぁ、ケガもなく楽できるってもんでしたが、ねぇ」

「おうよ、その女子供が向かって来るとはなぁ、俺も初めてだぜ」


山賊は、子供を人質に少女と食糧と酒だけを奪って逃走したのだった。

人質の子供は少女が山賊につかみかかった時にうまく逃げ出したが、代わりに少女がこん棒で強かに撃たれ、昏倒してところ連れ去られることとなった。

村の女たちが山賊を追いかけたが、女の足では追いつけず、まかれてしまった。


 = = = = =


隠れ家は、洞窟の入り口を巧妙に偽装してあり、夜中に洞窟内で火を灯しても外から見つけられない。

山賊は、気を許し、本能のまま振舞う最中だった。


いつもなら、理不尽な宴が続くのだが、今夜が違うこととなった。


洞窟の入り口からほんの少し夜露の香りが流れ込んできたが、それに気づく者はいなかった。


入口近くで膝立ちしていたオークの頸から短剣が生えた。

声も上げることなく、こと切れたため、周りのオークは気づくのが遅れた。


次の瞬間、しゃがんでいた全裸の男が両手にした剣を振り、瞬く間に膝立ちしていた4人のオークの顔を切り裂き、素早くしゃがみこんだ。


火を灯しているとはいえ、仄明るい程度の洞窟内に紛れ込んだ全裸の刺客(?)。

うつ伏せだったオークは、違和感を感じ周りを見渡した刹那、わき腹に衝撃を感じ意識を手放した。

目は閉じることなく淀んだ。


戦利品をむさぼり蠢いていたもう一人のオークが異質な気配を感じ、視線を上げて最後に見たのは、見知らぬ全裸の男の股間だった。

脳がそれを認識した次の瞬間、その脳に鋭利な金属が刺し込まれ、思考を止めさせられた。


山賊の頭は、わずかの間に手下を刈られ、あっけに取られてしまった。

我に返り、込み上げてくる感情に身をまかせて動き始めた。


侍らせていた少女たちを蹴散らし、傍らに置いてあった大型の戦斧に手をかけた。


自分が狩るべき獲物を見定めようと目を凝らす。

返り血を浴びた全裸の男、それを探した。


今しがた起きた殺戮に子女たちが怯え蠢いていた。

手下の血に濡れ、彼らが動くさまは妖しくも見えたのかもしれない。


いつの間にか、遠近感が錯覚の中に濁され違和感も混じり感じて、なおも目を凝らす。

洞窟の内部は、ささやかな灯りが徐々に減らされて、かろうじて陰影を感じる程度になっていた。


今まで強者として欲望のまま君臨していたその場で、丸太のような腕の岩のような拳に握られた大型の戦斧を振るうことなく、山賊の頭は、冷えた刃の供え物のような姿に成りはて、その一生を終えていた。


「いぁ・・」「もうやめてぇ・・・・・」と繰り返す、一人の少女がいた。

彼女の心は、オークの蹂躙に屈せず、抗い、自我を保とうと死にもの狂いの抵抗を続けていた。

但し、その様子は正体を失った亡霊のようなさまだった。


全裸の男は、壁に掛かっていた外套を腰に巻き、少女の前にゆっくりと近づき声をかけた。

「おうちに帰ろう」「みんな待ってる」


その全裸の男の声を聴くや否や少女の目は、凍ったように見開き、眼中に見つけた短刀を見据えて、それに飛びついた。


次の行動は一瞬だった。


短剣をつかんだ少女は、その短剣を逆手に持ち、自分の喉元に深く刺し込むように突き刺した。


短剣の切っ先は少女の喉元に届くことはなかった。

「くぅ、いてぇっーぇ」

少女の支配下にあった短剣を鷲掴みにして、微笑む全裸男が居た。


短剣をつかまれ、死ねないと判断した少女は、短剣を離し、出口に向かって走り出そうとした。


しかし脚がもつれ、倒れ込んだ。


立ち上がって逃げようと顔を上げると視界の隅に短剣を手にした男が近づいてくるのが見えた。


少女は、どす黒い絶望が覆いかぶさってきたような気がした。

同時に急に時間の進みが重くゆっくり息苦しく感じた。

この世界ではオークは豚怪人ではありません。

オークの女性もいて、まれに人族と夫婦になっています。


人族より頑強な肉体を持つ亜人という設定です。

ただ、皮膚の色は緑がかっていて犬歯が発達しています。

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