最終話
「ルカさん…ごめんなさい」
セフィーナは、大粒の涙をその目に溜めていた。蒼白い顔、ぐったりしたその四肢はもう力さえ入らないように見えた。
「うっ……セフィーナ………俺こそ………」
モカと同じ顔が生気を失っていた。ルカは、腕からボタボタと血が流れ落ちていた。
「ルカ………血が止まらない………」
俺はルカの腕のあった部分を手で押さえていたがその出血に追い付いていなかった。
「私は………」
「セフィーナが好意を持ってくれていたのは分かっていた。でも、それには答えることは出来なかったんだ………」
「ルカ…さん………」
セフィーナと呼ばれた女性が手をどうにかルカの膝に乗せた。
「私の我が儘………聞いて………」
手の置かれたルカの身体がぼんやりと輝き始める。
「ずっと側に………」
いつのまにかルカの出血はおさまって更に腕が元通りになっていた。
「ルカ…腕…」
ルカもそれには気付いたようだが、セフィーナを悲しそうな顔をして見つめていた。
「セフィーナ………ばかやろう………」
セフィーナはもう力なく手を落とした。
こうして、宝珠を巡る闘いは終わりを告げた………
多くの犠牲と悲しみを乗せて………
「また無茶したんでしょ!!」
モカは、力一杯俺の背中を叩いた。咳き込んで、しまう。
あのあと、すぐにグリムの背に乗ってみんなで帰った。タツキも一緒に乗ってきた。
それから、都市へ帰ってきてすぐにモカが迎えに来てくれた。
「ごめん」
「ばか」
モカは、俺の胸に飛び込んできた。キツクキツク抱き締めてきた。
「モカ………大好きだよ」
「おかえりなさい…」
「ただいま」




