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「ツルギ………」
俺に気付いたルカが此方を向いた。
「アルバベルトをあっさりと倒したかと思って来てみれば、妹を取り込んだ私にやられるとは。さすがは、我が妹というべきか?」
よく見るとルカを槍で貫いている男の胸にモカにと同じ顔が生えていた。
「お前………」
「確かツルギ君だったかな?」
俺はルカから貰った刀を構える。
「無駄なことだ。止めておけ。それに」
バタンと音がして、振り向くとタツキがそこには立っていた。
「タツキ。そいつを捕まえろ。俺はこの男の右腕があればいい。そいつは必要ない。」
「ツルギ………やれ………」
ルカは、貫かれた槍を掴んでいた。
「ふん」
槍を持っていた男は、その槍を蹴り捨てて懐から宝珠を取り出した。
「闇の歪みを作ってくれたルカ、お前に感謝しよう。」
紫色の宝珠が妖しい光を放ち始めた。
「やめろ…………」
ルカの右腕がビクビクと別の生き物のように動き始める。
「ルカ!!」
「ツルギ!!こいつを!!」
俺はその男に向かって駆け出す。
「タツキ!!その男を止めろ。」
しかし、動きを止めたのは目の前の男だった。
「なっ!!どういうことだ!!」
目の前の男が明らかな同様を見せる。
「くそ!!」
男はルカの右腕を短刀で切り落とした。
「ぐぁあああ!!」
大量の出血をしてのたうち回るルカ。
俺は止まらない。
刀を振り上げて飛び上がる。
「うるぁあああああ」
俺の刀が目の前の男を真っ二つに割る。
「バカな………俺が…俺が………」
「はぁはぁはぁはぁ………セフィーナ………」
ルカの左腕の手のひらから、光が放たれた。
そのあとに残ったのは女性だけだった。
「セフィーナ………」
俺はルカに肩を貸して、その女性の元へと歩く。
ルカにもう力はない。




