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ルカの都市で英気を養った俺達は、ルカとその使い魔グリム、ステラと共に教会の総本山へと向かってグリムの背で飛んでいた。
ハンブルや、セシリア、マルガはルカの都市の警備を担当、血盟召喚のジェルドも置いてきていた。
「勝てるのか………?」
「ツルギ、珍しいじゃないか。お前が弱気になるなんて」
「俺だってそうなる」
「宝珠は回収するまで気を抜くな?奴等、宝珠の力で化け物に換わることがある。」
「それはどういう?」
「殺された憎しみとかなんとかの力でじゃないか?」
「宝珠………か」
宝珠を使って栄えているルカの都市とは裏腹にそういう使い方もあるということだ。
それらの話をしていると、とうとう総本山らしき山に城塞のようなものが見えてきた。
「さて、そろそろか」
ルカは立ち上がり、光剣召喚と言うと光の剣が現れてそれを握った。
「ツルギ、生きて帰ろう」
そう言うとルカは、背中に黒と白の翼を作り出し飛び立った。
「ルカ!!死んだら許さねぇぞ!!」
ルカは、左手を上げて応えた。
しかし、ルカのルカらしいその姿を見たのはそれが最後だった。
「来てしまったんだな………」
眼前に立ちはだかったのはタツキだった。しかし、その目は白目部分をなくし真っ黒に塗り潰されていた。
「ああ。」
と俺は言ってルカから受け取った刀をスラリと抜いた。
「ツルギ。先へ行け。」
そう言ったのはグリムだった。
タツキにステラとグリムが立ちはだかったのは。
「行かせると思うか?」
タツキは、ピクリと指先を動かす。しかし、突然身体が動きを止めた。
「ツルギ行け!!さっさと行くんだ!!」
タツキの目がいつもの目になったり黒くなったりと点滅していた。
「タツキ!!」
「行け!!そして、さっさと終わらせろ!!」
俺はタツキを二人に任せて城塞の中へと入った。
中は真っ赤に染まっていた。
生臭い臭いが充満していた。
そこは聖堂。
神父が立つその場所には、心臓を突き刺されピクリとも動かないルカがいた。




