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色彩の契り  作者: るしょう
第一章 リーラ
6/26

紫5

クォーレは突然の殺気に身を固くした。

――これ危険なやつじゃ…?!

根拠はないが、直感でそう思う。

考えるよりも先に口が動く。


「ユイヒしゃがんで!」


「?!」


わけもわからないまま、ユイヒは両手で頭を覆って、しゃがみ込み、目をぎゅっと瞑る。


――バンッッ!


重い銃弾の音。

クォーレの頬を何かがかすめた。


「手を挙げろ。次は当てるぞ」


同世代の男子の声。だが、声色は本気だ。

クォーレは素直に両手を頭の高さまで挙げる。その様子を見て、殺気の根源の足音が近づいてきた。

クォーレの背後で足音が止まる。後頭部に金属の冷たさを感じた。銃口だろう。

「あなたは誰ですか?」

クォーレはなんとか冷静に尋ねる。

相手は冷たく答えた。

「普通に考えてあんたに恨みがある奴だろ」

「くーくん、心当たりは?」

ユイヒが両手で頭を隠したまま、ちらりとクォーレの方を覗いて、小さい声で聞いてくる。

と、その前に。

「くーくんって?」

「クォーレくんだからくーくん」

…まぁいい。気にしないことにしよう。

クォーレは少し考え込む仕草を見せた。

「恨みか…。ちょっと心当たりがありすぎて…」

「くーくん?!」

驚くユイヒ。

いやぁ人をいじるのが趣味だからさー、なんてこの状況じゃ言ってはいられない。

ああ、でもこの位置ならあれができるか。


クォーレは意を決して、右肘を背後に引いた。


「ぐっっっ!」


いつもなら背後の相手の溝内に決まるこの技。

しかし、相手が悪すぎた。相手の背が高すぎてうまく決まらない。

それでも少しは痛かったようで、腕が少し揺れた。


カチャリ。


――ん?


「何すんだてめぇ…!」


苛立つ声を耳から排除して、クォーレは脳を最高速で働かせる。

頭の後ろの銃口。さっきの発砲音。そして今の金属音。

――勝てる。

そう確信したクォーレは落ち着いて口を開いた。


「その銃、君が改造したんですか?」


「え」

相手は明らかに怯んだ。

「その銃、銃口からしてユニローグですよね?でもそれにしては発砲音は重すぎる。しかも今揺らしたときの金属音も低すぎる。なにか安っぽい金属を入れましたね?」

「なんで」

クォーレはにっこりと笑った。

「僕はアスールの大商人の息子ですよ?そのくらい長年の知識です」

小さい頃からいろんな商品を見てきた。その知識がこんなことにで役立つとは。

考え深く思いながら、最後に一言。


「銃の改造は犯罪ですよ?」


















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