授業風景
勝負を先延ばしにされた創司は、そこまで機嫌が悪いというでもなく教室へと戻ってきた。
美鈴と千鶴も茜と同レベルであり、この学年の中では高いレベルであった。
創司は三人の能力について考察しながら、机の上に突っ伏していた。
「創ちゃん!起きて先生を待ちなさい!」
創司の席の前に立っている雫に注意される創司。
創司は眠たげな表情で顔を上げ、
「…………眠い」
只一言呟いて、机に再度突っ伏した。
雫はそれでも起こそうと創司の身体を揺する。
創司は気にせず突っ伏したまま、授業を向かえるのだった。
「じゃあ『幻想』について説明して貰おうか未だに寝ている峯崎創司!」
『幻想』の授業を受け持つ重治は、大声を張り上げて、創司を指名する。
創司は一向に起き上がる様子はない。
雫は心配なのか創司の方を見て、ソワソワしている。
「起きろこのバカっ!」
隣の席に座っている俊和が、創司の頭を殴る。
「あ…………?よく寝た~~~~」
創司は呑気に身体を上に伸ばして、
「何ですか先生?」
これに重治はプルプル震えるが、「相手は生徒相手は生徒相手は生徒……」などとブツブツ呟いて、拳を抑えている。端から見たら中二病だ。
「いや~峯崎に『幻想』について語って貰おうと思ってな?と、言う訳で説明してくれ」
重治は引きつった笑顔で創司に促す。
「『幻想』とは19××年にライオネル・ブリンガーが発見し発展させたものです。『幻想』は術者の精神に比例し、イメージが甘かったりすると、発動すらしません。『幻想』には大きく分けて四つの種類があり、『強化型』、『射出型』、『使役型』、『分類不明型』があります。『強化型』は身体を強化したり、武器の強度、切れ味などを強化したりなどがあります。そして『射出型』には何もないところから炎などを発現させたり、相手の意志に関係なく操ったりできます。『使役型』は魔物を操り、自分の変わりに戦わせたりさせる事が可能です。最後に『分類不明型』ですが、これについてはよくわかっていません。資料には過去魔物を創り出したりなど、常識では考えられない事が記されていますが…………。まあ自分からの説明は以上です」
創司が説明し終えると、クラスメイト達は拍手する。これは素直な賞賛だろう。
「よ、よく説明してくれた。座って良いぞ………」
引きつった顔で創司にそう言う重治。大方恥を掻かせたかったんだろう。
創司は再度机に突っ伏して寝始める。創司は結局寝たまま授業を終えるのだった。