部活動見学 中編
部活動見学を俊和と約束していた創司は、重治の話が終わった後、俊和に起こされ行動していた。
「雫はどうするよ?」
「う~ん、じゃあ私も行こうかな?」
雫は創司に部活動見学を一緒にしないかと誘われ、どうするか考えていた。
雫は茜達とも約束している。
あの三人がどんな部活を見るかわからない以上、勝手に決めてしまっては悪い。なので雫は茜達に聞いていくる事にした。
「ちょっと待ってて。ちょっと茜達にどこ見るか聞いてくるから」
雫は茜の元へと近づき、
「今日ってどこ見るの?」
「えっとね、わたしは料理関係とか見ようと思ってるんだけど……」
「アタシはやっぱ陸上かな」
「ボクは『幻想格闘技』を鍛えるとこかな?」
それぞれ違う所を見に行くようだ。雫は千鶴が『幻想格闘技』を見に行く事が意外だった。
ーーーてっきり文系だと思ってたんだけど………。
『幻想格闘技』。これは『幻想』を交えた格闘技で、『世界幻想競技大会』でも競技としてある種目だ。これは『強化型』だけでなく、『射出型』や『使役型』の人達でも、有利に事を進めるために作られた武術である。
既に確立されており、ここから発展させる事は出来ないが、熟練すれば上位の魔物でも有利に戦う事が出来る。
「へぇ~、千鶴は『幻想格闘技』を見に行くのか」
「ひゃっ!?」
雫が創司の所へ行こうとした時、後ろから声が聞こえ振り向くと、既に創司が来ていた。
「創ちゃん!ビックリしたでしょっ!?」
「悪い悪い」
創司は雫に軽く謝り、もう一度千鶴を見る。千鶴はちょっと恥ずかしそうにしながらも、創司の質問に答える。
「えっとね、ボク『強化型』なんだけど武術が出来ないから、練習したいなって」
創司は違うと思った。千鶴は確かに『強化型』ではあるんだろう。だが、『複数持ち』の可能性がある。千鶴は恐らくそれだろうと創司は当たりを付けた。
「そっか。でも、まあ見事に別れそうだな」
創司は後ろに居る俊和を見る。見るからに早く格闘技系の部活を見に行こうぜと、目が言っている。
「そうだね……。じゃあ、後で合流しようよ」
「OK。じゃあ、また後でな」
創司は三人に手を振り、その場を後にした。
創司と俊和は粗方の格闘技を見て回った後、結局『幻想格闘技』のところへ来ていた。場所は練武会館と言う大きな建物だ。
1階は練武場、つまり武術を行う場所で、2階は観客が座れるように椅子が配備されている。創司達は今、その椅子に座って見ているのだ。
今はデモンストレーションとして、創司達の先輩達が組み手をしている。
見れば1年も体験できるようで、チラホラと参加している1年を創司は発見する。
「なあなあ!俺達も参加しようぜっ!」
俊和はウズウズとしているようで、今にも参加したそうにしている。
「まあ、ただ待ってるってのも暇だしな。やろうか」
「おう!」
創司と俊和は受付をしている先輩のところに行き、申し込みをしてから練武場に降りていった。
美鈴が空気と言う……………。もう少し頑張らないとと思った一話でした。




