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カモミール〜逆境の中で咲く花〜  作者: くろくまくん


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図書館での出会い

◯登場人物


ニゲル

24歳。闇属性。

中央都市リーウルスのC区画の雑貨屋で働く。


エミリア

38歳。光属性。

ニゲルと同じく、リーウルスのC区画のマッサージ店にて働いている。

「うーん…今ちょっと体がだるいんで。ごはん食べて元気出してからかけ直していいかな?うん、うん。ごめんね」


 全然今でもよかったんだけど、お別れのあとに聞く気分ではなかった。それこそ、少し食事を取って、気分転換をしてからがいい。


 そう。僕がこの街で、彼女…エミリアと出会ったのは、確か2ヶ月ほど前のことだった。



◇ ◇ ◇



 僕はニゲル。アクアディフルエンス王国の中央都市リーウルス、そこにある庶民の住むC区画に住み、同じくC区画にある小さな雑貨屋で働かせてもらっている。


 僕が働いている雑貨屋は、ひいき目に見て…めちゃくちゃ暇だ。並んでいる商品は、装飾品や日用雑貨、家に置くようなインテリアだったり、化粧品や美容器具なども置いている。


 ただ、庶民の住むC区画で、こういう実用性の薄いプラスアルファの商品を買いにくる客がいるかというと…まぁ少ない。


 というか、まぁ僕はバイトみたいなものなので、売上げが上がろうが、下がろうが全く気にはならないんだけどね。


「めちゃくちゃヒマだなぁ…」


 あ、ちなみにこの世界では一応魔法が使える。まぁざっくりだけど説明すると、よくあるような火・水・風・土・光・闇とそんな感じで、生まれつき備わっている属性というものがある。


 貴族や平民や、生まれの違いもあるにはあるが、この生まれつきの属性で、それぞれ生きるうえで成すべきことを選んだり、職業をそれにあったものにしたりすることが多い。


 例えば火なら料理人とか、水なら漁師、風なら運送業とか、土なら建設業という具合かな。ざっくりだけども。


 ちなみに僕の属性は闇だ。なんか役に立たなそうだよね。まぁでも闇ならではの色々な小ワザというか、できることもあったりはする。あ、ちょうどコンタクトが来た。これは僕個人宛の通信だね。


「はーい、どしたの?」


『ニゲルさん。B区画25番をマークしてほしいとのことです。今日ではないんですが、そのうち指示が出ますんで』


「うん、わかったよー。じゃあね」


 まぁこんな感じ。これは闇属性の者同士でしかできない「コンタクト」という通信能力なんだ。離れた者同士での会話ができる。あまり離れすぎるとダメなんだけどね。同じ街の中で、あまり障害物がなければ大丈夫。


 ちなみに通信は、複数人数でも一応可能だ。でも複数の場合、誰が話してるかよくわからなくなるから、あまり使わない。


 今のはなんの通信かって?まぁいいじゃない。そのうちわかるから。


 というわけで、僕は雑貨屋さんの入り口を「休憩中」の札に変えて、外に出た。図書館に行くのだ。


 僕は本が好きだ。本は毎日の暮らしを豊かにしてくれる。日々の生活のモヤモヤや、退屈を吹き飛ばしてくれる。


 それに、本を読んでいる時は、僕は純粋でいられる。僕は今年で24歳だが、やはり歳をとるにつれ、人間はけがれていく。多かれ少なかれ。僕の場合は、生まれのせいもあって、尚更そうなのかもね。


 あと、本は読む人を選ばない。誰にでも読む権利があるのだ。そして、どんな本を読んでもいい。


 空の彼方かなたのお話、空の彼方には真っ暗な世界があって、そこではみんなふわふわしていて、たまに人間より大きな機械の巨人みたいなのが出てきて、そして、巨人同士が争っていたり。


 また、この世界のように魔法がない世界のお話もある。とっても大きな建物に人間がひしめき合っていたり、ものすごい速さで走る鉄のカタマリみたいな乗り物に乗っていたり。そんな世界の中で、人間が愛しあったり、逆に殺し合ったり。


 この街リーウルスのB区画、商業区画になるのだが、そこにある図書館はまぁまぁ大きい。実際この街に、どのくらいの人が住んでいるかは僕も知らないんだけど、図書館には毎日まぁまぁの人が出入りしている。


 僕は図書館に入って、いつもの物語のコーナーに向かう。


 その物語のコーナーで、本を探すひとりの女性を見つける。


「何の本を探しているんですか?」


 僕は、ほんの気まぐれで声をかけてみた。僕より少し歳上の女性かな?背は僕より20センチほど小さい。あ、僕の背は175センチだ。


「あ、えーと。主人公の女性が記憶を亡くして、色々な人と出会いながら記憶を取り戻していく、という話の本が前にあった気がしたんですけど、見つからなくて…」


「あ〜、それならこれですよ」


 僕はその物語の棚の一番上にあった、たぶんこれだと思う本を取って、その女性に渡してあげた。


「一番上に移動してて、見えなかったんですね、きっと。これであってますか?」


「あっ!これです、これです。ありがとう!」


 その女性は、目当ての本が見つかって嬉しかったようで、にっこりと僕に微笑んだ。


 そして、その女性からふわっと、爽やかな林檎りんごのような香りがした。


 これが僕がエミリアに、初めて出会った瞬間だった。



◯中央都市リーウルスのプチ情報

ニゲルやエミリアが住む区画はC区画といって庶民が主に住む区画である。

ちなみにB区画は商業施設や飲食店が多く、それに携わる人たちの住居もある。

A区画は貴族など、上流階級の人が住んだり、その人達のための店舗があったりする。

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