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微かにふれる愛の音  作者: ナナとジューク


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女の手紙 1枚目

聖騎士様


貴方様はご存知でしょうが、わたくしの名前はアナベル と申します。


貴方様には全く関係のない私事でございますが、1度でもわたくしをお救いくださろうとした貴方様にはわたくしの事を覚えておいて頂きたく、お手紙を書かせて頂きました。


わたくしは、ガスヴィク公爵家に生を受け、年の離れた兄とわたくしの2人兄弟でございました。

わたくしが生まれる2年ほど前、めでたく王家に初めての王子様がお生まれになりました。

そこで、父は王家との繋がりを強固にしたいとお考えになったのでしょう、30半ばほどの母に無理矢理私を身ごもらせたのです。

元々政略の婚姻であった両親でしたので、兄を生んだ後は夫婦の営みは無かったと、父には外に囲っている愛人がおり、母にとってはわたくしを授かるまでの期間、そんな父に触れられる屈辱や苦痛を味わっていたと、わたくしが幼少の頃は家の影に潜んだ小鳥が囀ずっているのを何度も耳にしておりました。


何故無理に母を身ごもらせたのか、愛人の子供では王家に嫁がせるのには外聞が悪いと父は考えたのでしょう。

しかし、母は私を産むとすぐに、私を愛すること無く儚くなられてしまいました。


それから、わたくしは乳母に育てられましたが、父と兄に会うことはなく、家族というものを知らず、静かで広い邸宅で厳しく育てられました。


貴族の子供たちが社交に顔を出し始める年齢の7歳になった頃、わたくしは父と兄に初めて会うことが叶いました。

本当は顔を会わせるだけなら以前に会っていたのかもしれませんが、記憶にあるのがこの時だけなのでそう言うことにしております。

そして、2人に連れられて伺った先が大きな大きなお城だったのです。

私が唖然としている間に王様と、少し年上の王子様を紹介されました。

これはわたくしの婚約者となる方との顔合わせだったのです。

それから程なくして父の願いが叶いました。


王子様はわたくしの目にはとても格好よく素敵に写りました。王子様をお慕いするのにそう時間はかかりませんでした。王子様に会える日は本当に楽しみで、世界が輝いて見えたものです。

学園に入るまでは────。


学園に入り程なくして、この頃には殿下とお呼びしていたので、殿下と書かせていただきます。

殿下と男爵家に養子となったマリアという同級生の仲が良いと噂になり始めました。

それから段々と殿下はわたくしを避けるようになり、いよいよ殿下とマリアさんが恋仲という噂が立つ様になると、殿下はわたくしを蔑むような目で見るようになったのです。


わたくしには訳が分かりませんでした。

どうしたら良いのかも分かりませんでした。

学園の中で殿下とマリアさんが2人中睦まじく歩いてある姿を見ると頭が真っ白になり何も出来ずに只立ち尽くすばかりでした。周りの心ない声も聞こえてきました。格下の男爵令嬢に殿下を取られたバカな令嬢。傲慢で我が儘、腹いせに男爵令嬢を虐めて危害を加える悪女。なんて噂も聞こえてきました。

わたくしは何もできなかったのに。

噂通りに悪女になってしまえば良かったと今なら思えますのに、当時のわたくしは弱く、震えるばかりで、本当に何も出来なかったのです。

そうして何も手を打つことができぬまま、卒業の舞踏会で殿下より声高々にやってもいない男爵令嬢のマリアさんへの虐めを理由に婚約破棄を宣言されてしまいました。




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