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俺の10人目のカノジョは、罰ゲームで来ました。  作者: 白唯奏


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8/8

付き合ってくれないかな

「おはよ」

リビングに降りるとパンの焼けるいい匂いがした。

リビングにいたはゆめと朱莉、そしてあおいだけだった。どうやら彩芽と花恋と星奈は部活やらバイトやらでもう外に出たらしい。

「まだすずかちゃんと円香ちゃんが寝てるんだよね〜。もう朝ごはんできちゃうのに〜」

「あたしが起こしてくる!」

「あっ、朱莉ちゃんはダメよ〜。だってまだ割ったお皿の片付けしてないもんね〜」

「げ!」

にこにこと微笑むゆめの足元で朱莉が情けない声を上げた。

「ってことで〜、透くん。起こしに行ってきてくれるかな?」

「え…俺?あおいとかでいいじゃん」

そう言いながらあおいの姿を探したが見当たらない。さっきまでソファにいたくせに、跡形もなく消えている。

「行かなかったら朝ごはんなしだよ〜」

「い、行きます。行ってきますよ!」

 ゆめの圧に負けて階段を上っていると空とゆあにすれ違った。

「どっか出かけるのか?」

いつもジャージ姿の空が、珍しく外出用の服を着ていた。水色のパーカーにショートパンツ。首にはヘッドホンが掛けてある。隣のゆあはいつも通りのピンクを基調とした地雷系っぽい服。

「まあね。トールと違ってボクたちは部活に入ってるから、そこの買い出し。あとはゆあの付き添い」

「ちょっと待った。お前らが入ってるのは同好会だろ?俺は帰宅部という部活に入ってるんだ。俺の方が上だな」

「空もゲームショップ行きたがってたじゃん」

「無視をするな」

「そうだっけな」

「嘘つき」

俺を無視し続けて軽く争いになり始めた。

「仲の見せつけ合いはいいからさっさと行った行った。俺は今からとんでもない大仕事をするんだからな」

「ふうん。行こ、ゆあ」

「うん。じゃあね透」

「いや無視かいっ。…まあ気をつけるんだぞ。あと変な男に絡まれないようにと金の使いすぎと、それから…ってもういないんかい!」

……疲れた。なんで俺一人でツッコまないといけないんだ。てか俺って嫌われてんのかな。

 ため息を付きながら、すずかの部屋の前に着いた。

「すずかー」

戸をノックするが。案の定返事はない。

「おーい」

戸を少しだけ開け、中を覗く。が、ベットにすずかの姿がなかった。

「うぅ。まだ寝てたいよぉ」

すずかは布団に包まったまま床に落ちていた。

「すずかせんぱーい、朝ですよー」

朱莉の声真似をしてもびくともしない。

「起きろってば」

「むぅ」

起きない。うん。諦めよう。

「また後で来るから」

部屋を出ようとしたところで、袖が引っ張られた。

「…透さま」

背中からか細い声が聞こえた。

「起きてたのかよ」

「寝てたぁ」

すずかは布団に包まったまま、そう答えた。

「でもぉ、…透さまの声がしたから起きたぁ。でもまだ眠いぃ」

「どっちなんだよ」

「うぅん。………!パンの匂いがするぅ」

「下でゆめたちが焼いてる。急がないと朱莉に全部食われちまうかもな」

「ん」

すずかが俺に向かって両手を差し出してきた。肩に掛けられた布団が落ちる。

「おんぶしてぇ」

え、ちょっとまって。この人俺の先輩だよね??

「いやいやいや…」

「先輩からのお願いだよぉ」

「…ちょ、ちょっとだけな」

「やったぁ」

すずかはそう微笑むと、俺の背中に体を預けた。

「冷たっ」

首に当てられたすずかの手がひんやりとした温度を纏っていた。

「えへへ」

耳元で掛けられるすずかの声を聞きながらゆっくりと立ち上がった。

「途中で寝るなよ」

「うん」

「とか言いながら目を閉じようとしているのが俺には分かるんだよなぁ」

苦笑しながら階段を降りていく。

「あっ!とーるせんぱいがすずかせんぱいのことおんぶしてる!ずるーい!」

「ふふっ、朝からいちゃいちゃだね〜」

「いちゃいちゃっつーか介護だろ、これ」

「君は一体何又しているんだね」

コーヒー片手に新聞紙を読んでいるあおいがからかってきた。

「昨日会ったばかりなのになんか空間に馴染んでる。違和感が仕事しないんだけど」

すずかを下ろして再び二階に戻る。

 「円香」

「……透先輩っスか?」

「ああ。もう朝飯の時間だぞ」

「分かったっス…。じゃああと五分だけでも」

「んなこと言ってすずかみたいに寝てるんだろ」

「…じゃあ入ってきてくださいっス」

円香に言われるまま部屋の戸を開けると、円香は勉強机に座っていた。

「勉強してたのか?」

「そうっス。透先輩に相応しい人になれるように頑張ってるっス」

「そうだったのか。なんか邪魔して悪いな」

「だ、大丈夫っス!それに自分お腹空いてきたっス!」

円香が勢いよく立ち上がった。だがそれと同時に机の上にごちゃごちゃに置かれていた教科書やらノートやらが雪崩のように落ちていった。

「あっ」

「そ、想定内っス!」

「どんな想定だよ」

あわあわと片付ける円香を見ながら俺は息を吐いた。

「こっち手伝うから」

「ありがとうっス!」

 拾い終わると円香は元気にガッツポーズした。

「これで朝ごはんに行けるっス!」

「だな。さっさと行かねえと朱莉に全部パン食われるからな」

「それは困るっス!」


 二人でリビングに降りると、テーブルの上に置かれた料理が目に入った。

「美味しそうっス」

「このクロワッサンゆめの手作りだよな」

「そうだよ〜。あおいちゃんもいっぱい食べてね〜」

「すごいですね。ありがとうございます」

「美味しぃ」

「あっすずかせんぱいだけずるい!」

 「みんなはこの後予定あるの〜?」

そうゆめが言った時にはほとんどが朝食を食べ終わっていた。

「自分は勉強の続きやるっス」

「僕は一度家に帰って荷物を持ってくるよ」

「俺は特に無いかな」

「あたしも」

「わたくしもですぅ」

「じゃあ彩芽ちゃんたちも帰って来るのお昼ごろになりそうだし、それまで自由に過ごそっか〜」

ゆめの提案にみんながコクコクと頷く。

「じゃあ僕は透に付き合ってもらおうかな」

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