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『王子様』

 朝のSHRが始まる5分前。窓際の教室の端っこの席にて。

「空、ゆあの話聞いてるの?」

「ん」

「それでね、そこのコンビニの店員が」

「ちょいちょいちょい、待てお前ら。何勝手に人の席使ってんだよ。そもそも俺と別学年だろーが」

机に座ってゲームしている上の空の空と、そんな空に構わず話しかけるゆあの肩を軽く叩く。

「別にいいじゃん」

「透はゆあのこと嫌いなんだ」

「はい?」

俺が聞き返したその時、教室の戸が勢いよく開かれた。

そこには大勢の女子を連れたクラスメイト_如月あおいの姿があった。前髪にかかった髪をかきあげながら、教室に入ってきたあおいにクラスメイトの視線が奪われる。あおいは容姿端麗な上に成績も優秀と謳われ、女子からは『王子様』と言われている。そんなあおいが俺と同じ普通科コースというのが驚きだ。

ちなみのこの私立高校_聖都学園は進学科コースと普通科コースに分かれ、頭のいい奴らは校長の推薦で何年生からでも進学科コースに半ば強制的に移される。

「うわ。ボク、あの先輩苦手。上から目線だし」

スマホゲームから視線をずらした空がそう呟いた。 

「金使って普通科に居座ってるらしい」

「そうなのか?」

「……クラスメイトが言ってた」

空はそう言うと再びスマホに集中し始めた。    

「君が桜井透くんだね?」

不意に名前を呼ばれて顔を上げると、いつの間にか如月あおいが俺の目の前に立っていた。

「…まあ」

「ふーん。そうか」

あおいは口角を上げてニヤリと笑った。

「本気にさせてあげる、桜井透」

すっと伸ばされた指が俺の顎を持ち上げた。

「は?ゆあの前でなにやってるの?」

ドスの利いた声に一瞬空気が凍った。叫びだそうとしていたあおいに付いてきた大勢の女子を黙らせる程。

あおいが俺からパッと手を離すが、ゆあはあおいの手首を掴んだまま離そうとしない。

「誰アンタ?」

ゆあの爪が食い込もうとした時、空の手がゆあに伸ばされた。

「やり過ぎ」

「………!」

空の声にゆあの手があおいから離れていく。

「殺気が強いね、君の彼女さんは」

掴まれた手首を軽く振りながらあおいはそう言った。それから俺に視線を戻すと右手を差し出してきた。

「罰ゲームで君の事を落としに来た如月あおいだ。これからよろしく」

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