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9人のカノジョ

 _ドシッ。

重い。目を開けるといたずらっ子のように笑う女子_朝比奈朱莉が俺の上に乗っかっていた。

「とーるせんぱーい!おっはよっー!!」

バカでかい声に頭が痛い。

朱莉はそんな俺のことを気にする様子もなく、ぐいぐいと近づいてくる。

「今日の朝ごはんは彩芽せんぱいだってー!」

「…分かったから早く降りろ」


 朱莉に引っ張られながらリビングに向かうと、すでに騒がしい声が飛び交っていた。

「ちょっと、花恋!そっちはアタシの!」

「はあ?昨日は星奈っちが大きいの食べてたじゃん!」

「ボクはケチャップかける」

「じ、自分は王道の醤油派っス。目玉焼きはやっぱり醤油っス」

「はいはい、騒がないの。というか、花恋たちは取り合わない。どっちも一緒でしょ」

姫野花恋と緑川星奈が肉の取り合い。食卓を挟んで反対側は早乙女空と七瀬円香が話し、料理を並べている黒崎彩芽は呆れながら騒いでいる二人を止めに入る。キッチンには白石ゆめの姿が見える。

「ねーむーいー」

と、床にへばりつく藤宮すずかに、標的を変えた朱莉が飛びつくのは早かった。

「すずかせんぱーい!おはよー!」

「うぐっ………やめてぇ……まだねたいぃ」

「あ、確定演出。やっぱ今日、ボク運いい」

「たすけてぇ…ゆあちゃーん……」

朱莉に潰されたすずかが、ソファでスマホを弄る桜ゆあに手を伸ばすがゆあは全く気づいてない。

仕方なく俺が朱莉をすずかから引き剥がし、料理が並ぶテーブルの空いた席に座らせる。

「みんなのお弁当作ったから、持ってってね〜」

ひょっこりと顔を出したゆめが9人分の弁当を持ってきた。

「ゆめっち神!」

「悔しいけど、私が作ったのより美味しそうね」

彩芽が口を尖らせるが、声のトーンは高い。お互いに勝負心はなく、リスペクトし合っている仲だ。花恋と星奈のようじゃなくて本当に良かったと、つくずく思う。

「って、ヤバない!?時間もうないんだけど!あと、十分!」

花恋の叫び声に、一斉に動き出す。

「ゆあ!メイク道具貸して!」    

「脳汁エグい。学校行きたくない。…待って、朱莉、それボクの靴下」   

「てか、透さま早すぎですぅ」   

「まあ、俺、男なんで」      

「ゆあのメイク道具勝手に使わないでよ」  

「花恋、アタシの鞄どこやったんだよ!」      

「あっ、水くれしてなかった。今行くから待っててね〜、かにちゃ〜ん」   

「さっき果肉植物には水あげてたわよ、ゆめ」    

「せんぱいたち遅いー!」   

「急ぐっス。遅刻っスよ」 

それぞれが荷物を抱えて玄関に飛び出す。

「「「「「「「「「「いってきます」」」」」」」」」」

また来週!!

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