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ウェンディと大魔境

ドナは座学を中心に教えてくれたが、ウェンディはより実地訓練を優先していた。魔境の深くに進む際に彼女と手を繋ぐ。私は緊張するし顔が赤くなる。

魔境とは呪いの強まる場、不思議な事が起こりえる。

不安定な気持ちならその呪いは強くなる。だから知る事が大事なのだ。

呪いは私を蝕み、精霊に触れられる。知らない精霊達、名前を知らなければより危険は高まる。だから魔法使いは相手の正体を見破る力をみにつけるのだ。

私に触れた精霊は子供をからかう者という危険な精霊とわかる。私はどんどんウェンディと手をつなぐ事が恥ずかしくなる。ここは大魔境、僕が1人で来られる場所じゃない。

「手を離しちゃだめよ」ウェンディはそう笑いかける。これは本当にウェンディなのか、彼女が実践的な稽古を好むとはいえ、大魔境に連れてくるのはやり過ぎだ。

不安になりウェンディを見つめる。何かがぼくをだまそうとしている。

明らかに僕には強すぎる呪いだ。漏らしそうになるのを我慢する。

僕は「先生、トイレ」と言った。

ウェンディは、笑顔で「私はウェンディ、トイレじゃないわ」と答えた。僕は、何かが吹っ切れた。

呪いの正体が分かり始める。精霊の生態も。呪いと精霊は紙一重、子供をからかう者は子供の成長を見守る者という別の精霊に変わっていた。いや変わっていたというのは少し違う。変わったのは私だった。

私は「大魔境はやっぱり危険な場所なんですね。こういうのを一瞬で考えて何度も突破しないといけない。」

実際ウェンディと手を繋いていなければ、私は子供をからかう者にからかわれていただろう。そうなればもう助からない。

「呪いというものが少し分かったかしら、正しいと正しくないを狂わさせられる。簡単にして良い事と悪い事、そしてしたい事としたくない事が分からなくなる。本人にも気づけない。」

ウェンディは僕を見つめる。綺麗な瞳、彼女の瞳が赤く輝いている。彼女が僕を抱き寄せる。僕は彼女に身を任せる。彼女の唇が僕に触れる。彼女の手がぼくの・・・

僕の目の前で彼女が切り裂かれる。僕は咄嗟にそいつに魔法を放つが効くはずもない。

「ね、大魔境は危険でしょ」

ウェンディだった。元のウェンディの方をみる。願望でおびき出す者という精霊だった。精霊に、顔はないはずだがニヤニヤ笑っている。

僕は泣きながらウェンディに抱きつく。生まれて初めての死の恐怖だ、僕はもう少しで樹木に変えられる所だった。

僕は「ごめんなさい」とあやまる。僕は大魔境なんて平気だと豪語してこっそりこの森に入ったのだが、数歩もはいらないうちに死にかけたのだ。

ウェンディはところであなたそんな願望があったのとからかわれた。

僕は「だってウェンディは凄く綺麗だから」と答えると彼女は優しくコツリと僕の頭を叩いた。






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