エリーは最初ミラという名を規模した。
人造人間の少女は僕の事をまじまじと見つめる。
僕は何も言えずにいる。
彼女は僕の言葉をまっている。
「何か思っていたの違うけどまぁいいわ」といった。彼女は僕の言葉を待っていたけれど、答えが出るまでは待てなかった。僕にとっては初めての事だった。
ドナもウェンディも僕の大切にしたかった両親もみんな僕のことはを最後まで待ってくれていた。子供が自分の考えを伝えたい時にそれを待つのは大人の役目だ。
僕は自分はなんだかんだで凄い人間なのだと思っていたけれど僕はちゃんと子供だった。
僕の沈んだ心はようやく前を向く事が出来た。
目の前の少女は今度は不思議そうに僕を見つめる。
僕はこの子の気を惹きたくて仕方がなくなる。
「僕はエリク、魔法使いだ。君の名前は決まっているのかな?」とたずねる。僕は彼女を子供扱いして彼女の言葉を引き出そうとする。
彼女はすこし考える。決まってはいないけれど希望を伝えようとしている。完璧な人造人間は人の言うことを聞かないし、人に質問をする。
ある程度で肉体の成長が止まる事は魔法使いのようであり、魔法の格は3次魔法に限りなく近い3.5次魔法。彼女が3次魔法に達して居ない事は僕でなければ気付かなかっただろう。ウェンディにさへ無理だ。
生き物は自分と魔法の格の近いものを大事にする。けれどもし、3次魔法である獣と3.5次魔法である彼女のどちらかしか助けられない状況なら誰もが彼女を救うだろう。皆が魔法の格をよみ違える。人造人間とはだますものなのだ。
彼女は「希望はミラだけど君が決めてくれたらいいよ」といった。僕は彼女の瞳をみつめる。見た目よりはすこし大人びたしゃべり方なのは僕が頼りないからに他ならない。
彼女はそっと手を差し出す。彼女には魔法は使えない。迷宮からは出られない。僕が彼女の手を取った時僕の魔法の格が上がったことがわかる。僕がこの子を守るのだ。彼女にはきっと数奇な運命が待っている。僕が彼女を守る。今の僕はマナ様に憧れている。僕はその事を隠したまま。
「君の名前はエリーだ。どんな運命にも負けなかった女の子の名前だ」とマナ様に守られて偉大な勇者になった者の名をつげた。
エリーは
「ガー、ピー、識別名エリー、インプット完了」といってロボットの真似をして微笑んだ。




