狐に化かされる
「どういうことよ!」
役員会に901.909号室は1ヶ月いないと報告したら、その場で皆に変な顔をされ901と909号室へ皆で行く事に。
そしたら2室とも普通に居た。
だが、確かに居なかったのだ!1月近く!
メーターを確認してたから全然先月から動いてないと話したら、901号室の矢向さんは困ったように頭を抱えた。
「確かにさっきまで他の場所に居たような気もする。
でも、急にモヤが晴れたら部屋に居たのよ〜」と話した。
「まあ、普通に考えたらおかしいでしょう?
新しい役員さんの勘違いじゃない?」役員会はミー子が勘違いしていた事にするみたいだ。
80代の人の話より50代がボケてると?
「ずっと居たよ。お向かいの西保さんに聞いてよ。」
909号室の尻手さんは自信満々だ。
「私、4年前から住んでますが、尻手さん見たの今日で2回目ですよ。
本当に住んでますか?」思わずミー子はツッコんでしまう。
なぜか皆が沈黙する。
「杉本さんがお仕事とかで動く時間帯が違うんじゃないですか?」5階の役員さんが言う。
「すみません。ファイアーなんで自宅にずっと居るんですよ。」ミー子が言うと皆がファイアーが分からずキョトンとした。
「ニートみたいなもんだよ。」誰かが言った。
「違います!ちゃんと今も働いてますって!」言ったが年配の皆さんはホッホと笑った。
「絶対おかしい!1月住んでなかったよ!」
今日は月も三日月だし西保さんは現れないだろうが、出来れば聞いて欲しいなとオープンテラスで夜景を観てる。
部屋から気配がするのにミー子が戻らないから、クロが玄関で待ってるのかミャーと小さく鳴いてる声がする。
諦めて戻ろうとすると、向かいの平間君がテラスに立っていた。
「どうしたんですか?」ミー子が聞く。
「いや、いつも猫が鳴くとだいたい3分後くらいに玄関開く音がするのに今日はどうしたのかな?と思って。」
908号室のお兄さんはウチのクロがミー子の帰宅の気配で玄関へ迎えに来るのを理解してた。
古いマンションなので玄関扉の音は筒抜けなのだ。
「3分前なんだ。知りませんでした。必ず迎えに来てくれるんで、いつから待ってるのかな?とは思ってたんですが。」
お兄さんは、ミー子から見るとただただ可愛いけど!
頭を撫でて良い子してアメちゃんあげたくなるが!
シッカリしてるし大人なのだ!
この若さでマンション買ってリフォームして働いているし。
他の人の部屋は、玄関が防音いい加減なので中の生活音が丸わかる。でも平間君の部屋は全然音が漏れない。
ちゃんと考えてリノベーションしてるのだ。若いのに。
比べちゃいけないが、903号室の谷保さん家のリノベーションとは違うのだ。5m先なのに内見客が来たらすぐ分かる。話し声まで。
アニメで活躍してる探偵も小さい男の子だ!
思い切って平間君に経緯を話した。