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うたかた  作者: たき
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揺らぎ(13)

いつものように一緒に眠り、目が覚めたらキスをして、大事に抱きしめられて、どんどん愛情が注がれていく。


「まだ外、暗いね。」

彼はそう言って、私を腕の中に閉じ込める。

規則正しい心臓の音が心地よくて、彼の体に腕を回して身体を密着させた。


彼は私の背中をゆっくり撫でながら、何度もまるで何かの呪文のように“大好きだよ。”と繰り返す。

私は安心するかのように顔を上げて、彼の喉仏にキスをした。

喉仏が少し上下に動いた感覚を唇に感じたと思った瞬間、彼は私の身体を引き上げて私のおでこにキスをする。

その唇がまぶた、鼻先、頬と降りていく。

焦れったくなるくらいゆっくり降りてきた唇がようやく合わさる。


私からくぐもった声が漏れる。

静かな部屋にお互いから溢れる声が響いていく。

愛おしく慈しむような彼の指先が私の身体を滑るように触れていく。

それに合わせて彼は身体中にキスを落としていく。

変わらぬ羞恥心から彼の名前を呼ぶと彼は私の顔を見下ろして、優しく笑う。

その優しさに触れて私は彼の首に腕を回して、彼を引き寄せる。

耳元で何度も揺れながら愛していると囁かれ、それに答えれる余裕がないくらい呼吸が乱れていく。


「イチハ、僕だけ見ていて。」

彼の切なそうな泣きそうな声に私はなだめるかのように唇を重ねる。


“僕だけ見ていて。”


彼は私の後ろめたさに気づいているのだろうか?

何度も私の顔を見て切ない顔をしていた。


そろそろ窓の外が白んで来て、朝が明けようとしているのを隣で寝息をたてている彼の横で感じていた。

布団から腕だけ出してベッドの下に散らばったルームウェアや下着を拾いもぞもぞと着ていたら、彼が寝ぼけながら私を抱きしめた。


「おはよう。イチハ、そろそろ起きる?」

私の頭に顔を埋めた。


「まだ、寝ていて大丈夫ですよ。」

私は少し前の彼の不安な顔が引っ掛かり、少しでも安心して欲しくて彼の背中を抱きしめた。

私が彼を不安定にしている事は感じている。


「マサキさん、イヤじゃなければ明日、私の両親に会いますか?」

安心させたいと思っての提案だった。


「イチハがイヤじゃなきゃ、僕はちゃんと挨拶はしたいと思ってるよ。付き合っていることはちゃんと伝えたいし、これから大事にしていきたいこともわかってもらいたいから。」

彼は私を強く抱きしめて、“焦って、ごめんね。”と呟いた。


私は彼の腕の中からゆっくり抜け出して、キッチンに向かう。

焦らせているのは私だ。

彼の側にいたいと思っているのも、それが不安定な気持ちが見え隠れするのも、自分勝手な気持ちだと理解している。

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