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うたかた  作者: たき
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揺らぎ(11)

夕ごはんの準備が出来たので、カナタに声をかけた。


リビングに遠慮がちにカナタが入ってきて、人見知りが発動していると思い、


「カナタ、食器出して。」

と、お願いをした。


仕方なさそうな顔をしながらカナタは食器を出す。


「彼の食器はどうすれば良い?」

カナタは私に尋ねた。


「下の引き出しにお客様用のお茶碗と湯飲みがあったよ。マサキさん、お茶暖かいのと冷たいのどっちが良い?一応、ビールもあるけど…。」

私がそう言うと、カナタはごそごそと食器を探して出し、マサキさんは悩みながら、


「イチハは今日は帰るの?帰るなら送りたいからビールは控えようかな?」

そう言った。


「明日の仕事の準備出来てないから帰るけど、ちょっと朝ごはんとか準備しとこうと思う。遅くなるけど大丈夫?」

私がそう言うと、彼は“なおさら送る。”と言って、飲み物の準備を始める。


マサキさんとカナタの距離は少しあって、ちょっとだけ戸惑いながら準備をする。


カナタは当たり前のように私の食器を自分のとなりに置き、マサキさんのものは自分の目の前に置いた。


「いつもイチハはカナタくんの隣なんだね。」

とマサキさんが言うと、


「イチハはいつもだよ。ずっと俺の隣だから。」

カナタが早く席に着くように椅子を引いて待っている。


少しマサキさんは苦笑しながら、それでも穏やかな対応で鍋をキッチンから運び、私は追加の具材をラップして冷蔵庫に納めておく。


「カナタ、今日少し早かった?」

私は少しでも話をして和ませようとする。


「イチハ、そんなでもないよ。でも、もう少ししたら冬休みだからね。イチハはいつから来るの?いつから休み?じいちゃん達は30日に来るって言ってたよ。」

私に体を向けてカナタは一生懸命に話す。


「30日からお休みだけど、31日になるかな?」

私はそう答えた。

チラリと話の置き去りになっているマサキさんを見た。

私と目があったら穏やかに笑っていた。


そのままカナタは私に話しかけた続け、ひとしきり食べてご馳走さまをして食器を下げていく。


「お風呂入って来る。」

と言ってカナタはリビングを出る。


「イチハ、カナタくんは僕がイヤだったかな?イチハが取られた感じだったかな?」

マサキさんは笑いながら片付けを始めた。


「人見知りかな?」

私がそう言うとマサキさんは“違うと思うよ。”と私の顔を覗き込んだ。


「僕の彼女はモテて困るなぁ…。」

と、また彼は笑った。


私は冷蔵庫から取り分けた材料と取り分けたお出汁と一緒に土鍋に入れて火にかけた。


私達は洗い物をしたり、ご飯の残りを冷凍したり、朝ごはん用にお味噌汁を作ったり、簡単なおかずを作って冷蔵庫に納めた。


「ジュンタさん、ご飯食べれそうですか?部屋の前に置いときますね。そろそろ帰りますね。」

私はトレーにお鍋とご飯にお水をセットして寝室の前に置いた。


「イチハちゃん、ありがとう。彼にもありがとうを伝えててね。ご飯食べるからね。気をつけて帰ってね。」

しゃべる声を聞くと体調は昨日より落ち着いているみたいで安心する。


テーブルにメモを残して、私達は荷物を持って私の家に帰宅をする。

玄関を出る前にカナタが微妙な顔をしていた。


「イチハ、お疲れ様。寒いから早く帰ろう。」

彼は私の手を握ってまたコートに入れた。

少し目まぐるしい休みだったと思いながら、彼の手をしっかり握った。






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