揺らぎ(9)
カナタを送って、カナタの食べた食器を洗って洗濯機を1度回した。
バタバタと動いていたら、マサキさんがリビングに眠い目を擦りながら入ってきた。
「おはよう。ご飯出来てるよ。」
私はキッチンにそう言いながら戻った。
「美味しそう。顔洗って来るね。」
彼はリビングを出る。
私は1度ジュンタさんの寝室を開けて様子を見ると、少しだけ昨日よりは穏やかに息をしていて安心した。
起こさないようにゆっくりドアを閉めた。
それからマサキさんと2人で朝ごはんを食べて、洗濯物を私が干して、彼が食器を洗った。
ベランダから外を見ると冬の朝がゆっくり始まる感じだった。
洗濯物を干し終わってベランダから帰ると、私が寒いのをマサキさんが心配していた。
「外に出る前に羽織るもの渡しとけば良かった。…僕が干しに行けば良かったのかな?」
すまなそうにしている姿が愛おしくて笑った。
カチャッとドアを開ける音がした。
「イチハちゃん、おはよう。ずいぶん楽だよ。昨日はありがとう。イチハちゃんの彼氏だよね。ありがとうね。」
リビングには入らず、ドアだけを開けて私たちにジュンタさんは話しかけた。
「おはようございます。ご飯食べれそうなら準備しますよ。」
私はキッチンに向かって走った。
「ありがとう。お腹すいたからありがたい。イチハちゃん、良い彼氏だね。イチハちゃんの事が大事なんだね。」
と、ジュンタさんは私たちを気にしながら洗面所に向かい、また寝室に戻った。
移らないようにの配慮だと思う。
ジュンタさんに彼を褒められて嬉しいと思う自分と淋しいと思う自分がいた。
急いで作っていた卵雑炊を温め、お茶を入れてトレーに置いた。
寝室の前にトレーを置いて、
「ご飯置いておきますね。」
と、ジュンタさんに声をかけた。
私達が寝ていた布団を畳んで一旦片付けた。
「マサキさん、少し買い物に行こうと思うんだけど…。」
私は彼が何処にいて良いのかわからなくてソワソワしているのが、本当にかわいらしくてふっと笑ってしまった。
「一緒に行こう。」
彼は安心したような顔をして私に答えた。
寝室のジュンタさんに、
「買い物に出ようと思うんですが、鍵は何処にありますか?あと、何か食べたいものとか必要なものはありますか?」
私はドアの外から声をかけた。
「鍵はシオリさんの写真が飾ってある棚の右端に入っているから。食べたいものは特に無いけど…イチハちゃんありがとうね。」
ジュンタさんは部屋から少し苦しそうだけど大きめの声で返事をくれた。
私は“行ってきます。”とドアに向かって言い、姉の写真が飾ってある棚の前に立つ。
「キレイな人だね、お姉さん。」
マサキさんが私の後ろで呟いた。




