揺らぎ(6)
その日にモモカとお店から出る前にマサキさんに連絡をしたら、
「今からそっちに行くから。」
と返事があった。
モモカと駅の前で待っていたら、急いでマサキさんが迎えに来てくれた。
彼はあまり飲んでないみたいだった。
「過保護だねぇ…愛されてる。」
とモモカが言っていた。
マサキさんのかなり後ろからマイペースにケントさん達が歩いて来ていた。
「マサキが心配だからってあんまり飲んでなくて…。そんなにかわいい彼女なのか見たかったんだって。俺は一応止めたんだよ。イチハちゃん、そう言うのイヤかなぁって…。」
ケントさんはモモカと私にゴメンと頭をかきながら言った。
私とモモカは囲まれ、
「こりゃ、かわいいわ。そりゃ、心配だ。」
と、言われながらマサキさんをニコニコ見ている人がいたり、
「マサキ、いい奴なんで宜しくお願い致します。」
と頭を下げる人がいて、私は少し勢いに押された。
「ちょっと、イチハに絡まないで下さいねぇ…。」
とフラフラになりながらモモカが私の前に立った。
そんなモモカを私は後ろから支えた。
「イチハ、帰ろう。ケント、安藤フラフラしてるぞ。」
マサキさんは私の手を握って歩き始めた。
モモカはケントさんがしっかり支えているようだし、安心しながら私はマサキさんに一生懸命ついていく。
マサキさんは同期が騒いだことを謝り、
「イチハ、楽しかった?安藤かなり飲んでたけど、イチハは大丈夫?」
と私の心配をする。
こんなに優しい彼を大事にしなくちゃと握った手に少し力を込める。
彼はそれに少し反応するように指先を動かして私の手の甲をなぞる。
不安を置き去りにして、ただ彼を好きな気持ちだけを考える。
玄関を開けて、すぐに私からキスをする。
お互いの柔らかな舌の感触を心地よいと思いながら、呼吸をするのも惜しいと唇を離さず、私は壁に追い詰められる。
身長差でお互いが少し笑いながら、
「イチハが小さいから背伸び大変だね。家に入ろう。」
と、彼は私が靴を脱ぐと私を抱き抱えてベッドに私を座らせる。
私の足の間に入り、床に膝をついて彼は私にキスをして胸元に顔を埋めた。
「イチハ、びっくりしたよね。本当は誰にも見せたくない。かわいいのは僕が知ってるから。」
かわいらしい焼きもちなのか、少しだけ嬉しくて彼の髪に指を通しながらゆっくり頭を撫でる。
幸せだと思った。
何度も何度も私を大事に扱いながらキスを繰り返し、ゆっくり彼は私の頭を支えながら唇を重ねたまま体重を軽く私にかけてベッドに倒す。
「イチハ、かわいい。顔がとろけてる。」
私をしっかり見つめながら、彼は首筋に唇を落とす。
スルリとニットの中に彼の手が入る。
素肌に優しく触れる彼に私は素直に反応し、ホックが外しやすいように少しだけ背中を動かす。
そんな時にモモカの声が不意に思い出される。
“ちゃんと、好き?”
私は少し冷静になった。
けれど、今は彼に委ね甘えたいと思った。
再度、キスを求め彼を呼ぶ。
そんな時にスマホが鳴った。
少し聞かないようにしたが、その長いコール音に彼が微笑みながら、
「ひとまず出てみたら?」
と優しく言った。




