揺らぎ(3)
滞りなく法要が終わり、ご飯にでもとジュンタさんのお母さんも含めて姉の家に戻ることになった。
タクシーを2台予約をして少しだけ待った。
「今日は来ていただいてありがとうございました。」
父がジュンタさんのお母さんに頭を下げた。
「いえ、シオリさんはジュンタの大事な奥さんですから。なかなか仕事で交流が持てずにすみません。」
彼のお母さんは父や母に頭を同じように下げた。
私も数回会うことがあった。
姉の結婚での顔合わせと姉の入院中、姉の葬儀、一周忌で会っていた。
ジュンタさんが中学生の頃に離婚してからお母さんがジュンタさんと2人で暮らしていたみたいだ。
仕事もかなりしっかりされていて、姉と話が合っていた。
ジュンタさんはお母さんの面影が強くあって、二人並ぶとそっくりだった。
ただ、お母さんは見た目はジュンタさんと同じく柔らかい雰囲気だが、性格はかなりしっかりしていてどこか姉に似ている。
皆で出前を取ることになり、父とジュンタさんとジュンタさんのお母さんが支払いを自分がするとちょっとしたほほえましい小競り合いがあったが、父とジュンタさんのお母さんが折半するところで落ち着いたみたいだった。
母はその間に私とお茶と簡単なお吸い物を作り、カナタは着なれないキチンとした格好がイヤだったようで早い段階で着替えていた。
「イチハちゃん、いくつになったの?」
ジュンタさんのお母さんが私に尋ねた。
「もう、25歳です。」
そう私が答えると、彼女は“早いもんねぇ…。”と呟いた。
「初めて会った時は高校生だったのに。ずっとかわいい印象だったのに、久しぶりに会ったらキレイになって。」
ジュンタさんのお母さんは私を見て穏やかに微笑んだ。
「…ありがとうございます。」
私は褒められて恥ずかしくなった。
「彼氏のおかげだなぁ。」
空気を読まずに父がそう発言した。
母が私にごめんと口を動かした。
母には伝えていたが、このタイミングで父からと言うのは、かなりいたたまれなかった。
「…そりゃ、イチハちゃんも25歳だし、かわいいから…ねぇ…。」
ジュンタさんのお母さんはどう取り繕うか悩んでジュンタさんを見た。
「…彼氏かぁ。初めて聞きました。イチハちゃん、おめでとう。おめでとうも…違うか…。イチハちゃんがかわいいのはそうなんだけど…。」
ジュンタさんはかなり困っていた。
それよりもジュンタさんにはせめて自分で伝えたかった。
おめでとうまで言われてしまって、かなり戸惑った。
父が悪気があったわけではないので、出来るだけ平静を装って、他の話題に切り替えようとした。
「イチハ、どれ食う?俺、サーモン。イクラも食べたい。腹ペコだよ。」
と、カナタが私に話しかける。
私の手を痛いほどカナタは握った。




