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うたかた  作者: たき
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揺らぎ(2)

秋になると忙殺されるような忙しさだった。

週末の度に早朝から会社に向かい、式の準備リハーサル、アテンダントに走り回った。

滞りなく式が終わると他のお客様の打ち合わせや他部署との引き継ぎ、お客様の電話対応など帰る頃にはすっかり遅い時間になっていた。

それが土日祝のスケジュールで月曜日には疲れが抜けないまま身体を動かした。

クレームも起きやすい仕事であるため迅速な対応を気にかけていた。

大きなお金が動く分、見積もりなどで疑問に思われたり、提出書類が遅れないように連絡をしてもお客様とうまく繋がらなかったり、細々したアクシデントは期待していらっしゃるからこそ起きる。

その都度できるだけ安心して希望に添うように努めた。


繁忙期は12月頭くらいまでは続く。


そんな状態の私を彼は甘やかした。

彼は私の家に来て料理を作ってくれたり、買い物をしてくれたりと、本当に世話を焼いてくれた。

彼も忙しいだろうに、水曜日の会社の休みには必ず火曜日から来て、


「イチハ、明日はカレー作っとくね。」

などと言いながら、数日食べれるものを作ってくれていた。


本当に大事にされすぎて、


「マサキさん、頑張りすぎです。」

と伝えたが、


「それだけ大事です。」

と一喝されて終わった。


彼といるとピリピリ張りつめた気持ちが緩まっていくのがわかった。

こんなにも大事にされていてもなお、心のどこかで不意に苦しくなった。


そろそろ姉の三回忌になろうとしていた。

前々からその日だけはお休みを頂くように相沢チーフにシフトを組んで頂いていた。


両親も前の日から移動して来るようだった。

姉の事はマサキさんにも話していて、土曜日はなかなか連絡が取れないかもしれないと伝えていた。


姉は色々考えて生前に納骨堂にと話を進めていたため、お寺の方に日程を相談して、納骨堂での個別法要となった。

皆で姉の家から移動すると決め、色々準備や連絡などをしながらその日になった。


私は喪服に着替え、朝から忘れ物がないように準備をして、早めに姉の家に向かった。

私が到着した時には、まだ両親とジュンタさんとカナタは着替えや準備にバタバタとしていた。

私は父や母の準備を手伝い、タクシーを呼んだ。


皆で移動しながら窓の外を眺めた。

秋も終わりそうな厚い雲の広がる空が見えた。


ジュンタさんのお母さんが直接納骨堂に向かうと言われていたので、少し待って合流して中に入る。

他の方に迷惑にならないように静かに移動して、粛々と法要が行われた。

お線香の匂いが広がり独特の空気感に慣れず、視線を動かす。

視線の端にジュンタさんが手を合わせて目を閉じている横顔があった。

長くキレイな手と少しだけ色素の薄い柔らかそうな髪が儚く思えた。

姉の事を本当に大事に思っているのだと、今も変わらず愛していると、いつもよりしっかりした姿勢に感じられた。

私も姉にちゃんとやりたいことをどうにか頑張っていることを報告をした。


心の中にある彼に対する気持ちを、忘れていないと自覚する。

愚かで浅はかだと急いでその気持ちに蓋をして、冷静にいつも通りに振る舞うようにする。


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