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うたかた  作者: たき
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融解の方法(15)

朝が来て少し早く鳴るアラームに手を伸ばし、マサキさんを起こす。

しっかりしていそうな彼が以外にも朝はかなり弱いのか動きが鈍くて、可愛らしく思えた。

1度帰るから時間がないとバタバタしながら、少しシワになってしまったシャツにスーツのジャケットを羽織る。

ちゃんと掛けておけば良かったと反省しながら彼を見つめる。


「また、夜に連絡するね。来週会えるの楽しみにしてる。あと、大好きだよ。」

早口で私にそう言って、キスをして急いで玄関を出る。

その背中を見守るように見つめる。


きっとこれで良かったと、ちゃんと彼を好きにもっとなれると心で繰り返す。


少しだけ淋しくなった部屋を見渡し、床に落ちている昨日のワンピースを拾い洗濯かごに入れて、仕分けをして洗濯を始める。


午前中は繁忙期に止まってしまった資格試験の勉強をした。

今は色彩検定の勉強をしていて、式照明やブーケやテーブルコーディネートで必要な知識をつけようと思った。

学生の頃は目的があまり見つけられなくて、いつも可も不可もなく与えられることをひたすらやるだけだった。

けれど、今は責任を持ってやることが楽しくなっていた。

きっかけは姉の笑顔。

その幸せの瞬間をちゃんと記憶に残るように、私が出来ることはしたいと思った。

器用な人間ではないと自分でもわかっていた。

だから、コツコツ積み上げて積み上げて、自信をつけるしかないと思って、少しでも余裕のある時期は時間をうまく使おうと思っている。


少しお腹がすいたとスマホを見ると昼過ぎになっていた。

そろそろ姉の家に向かう準備をしようと思った。

今日は久しぶりにハンバーグを作ろうと思った。

最近、本当にカナタにツラいことばかり言わせているような気がして、少しでも喜んでくれる顔を思いながら、スーパーに向かい、姉の家につく頃にLINEの通知音に気がついた。

“休みはのんびりしてる?夜電話するね。”

マサキさんの連絡に気持ちがほころぶ。


「イチハ、もう来てたのかよ。家に入ろう。」

エントランスでちょうどカナタに会った。

背が高くなり少し不釣り合いなランドセルが少しかわいく思えて、ふっと笑った。


「今日は元気じゃん。」

と、カナタは私を見て笑った。

すでに私より少しだけ大きくなった身長。

カナタが安心できるように少しでも大事に時間を過ごそうと思った。


エコバッグの中身をカナタは確認して、


「ハンバーグだ。今日の晩ごはんは当たりだ。」

そう言って、手を洗い宿題を始めた。

私も以前より手際よく料理が出来るようになった。

多少マシなレパートリーも増えたけれど、ハンバーグは別格だった。

玉ねぎの炒める匂いがして、少し気持ちが上がる。


少しずつ心地よい暖かい空間になる。

宿題が終わる頃にはスープとハンバーグに少しの副菜が出来ていて、カナタはテーブルを拭きながら食器を準備してくれていた。

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