融解の方法(14)
何度も何度もかわいい、キレイと耳元で囁かれ、優しく大事に扱うように彼は私を抱いた。
私の顔を何度も確認しながら、私から漏れる声を確かめるようにキスを繰り返しながら、ゆっくり身体を重ねる。
「…隅田さん、好きですよ。」
大事に私を見つめる彼に伝えるように、ブレる視界の中で彼を探し、彼の腕を私は掴んだ。
「名前で呼んで。好きだよ、イチハ。」
眉間にシワを寄せて余裕なく、乱れた呼吸で彼はそう言った。
仰向けになって散らばった髪を優しく一度スルリと触り、私の背中に彼は腕を差し込み、私を抱き起こして向き合って何度目かのキスをした。
肌の温かさを確かめるように私は彼の膝の上に跨がり、優しさに甘えたくて、寄りかかりたくて、安心したくて、足を彼の背中に絡める。
「…マサキさん、好き。」
私は彼に答えるようにそう言葉を溢した。
さっきまで優しい彼が余裕なく強く私を抱き、私はそれに寄り添うように身体を預けて跳ねた。
薄暗い部屋の中でカーテンから微かに漏れる月ひかりに、ベッドの向かいにある姿見に私と彼の背中が映る。
私は鏡に映る虚ろな目で抱きつく私と目が合う。
私は何をしているんだろうか…。
本当の気持ちと少しの嘘と不安を混ぜて、本当に近づくように彼に反応して声をだらしなく漏らす。
耳元で何度も愛してると切なく伝えられ、鏡の私から目を反らす。
呼吸が整う頃には何度も彼が腕の中で優しく髪を撫でる。
目が合う度に優しく触れるだけのキスをした。
いつの間にか私達は眠りに落ち、次に目が覚めた頃にはまだ外が暗く安心した。
1時間ほど私は眠っていたようだった。
回された腕をゆっくり外しながら、ベッドから起き上がり、シャワーだけでも浴びたくて移動した。
穏やかに眠っている彼を起こさないように、そして、少しの罪悪感のある顔に気づかれないように、手早く身体を洗い、バスタオルに身体を包みながらほんの少しだけ泣いた。
ジュンタさんを忘れようと思って、切なくなった。
それでもこの苦しさを捨てられるかもと、再度顔を少し洗い、化粧水をしっかり押し込むようにつける。
何度も両手で頬を包み、鏡の中の自分の顔を確認する。
これで良かったと何度も思いながら、部屋に戻る。
私がベッドに座ると、彼は眠い目を必死に開けようとしていた。
「…シャワー浴びにいきますか?」
私が彼のサラサラな髪に触れた。
私の腰に腕を回し、
「大好きだよ。大事にするからね。」
とそう言って、シャワーを浴びに彼はゆっくり移動した。
彼は仕事だからと、私は早めにアラームをセットする。
彼が再びベッドに潜り込んで私を包むように眠りに落ちた。




