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うたかた  作者: たき
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融解の方法(6)

早めに目が覚めてしまい、再度ジュンタさんのLINEの内容を見て切なくなる。

6時前でまだ暗く、静かだった。

昨日、隅田さんからは、“2日はどうですか?“と聞かれて、会う約束をした。

自分の気持ちが煩わしかった。

悩んでも結局は自分で決めることなど出来ないのに、とらわれ続けてまた悩む。

はっきりしているのは私がジュンタさんが好きだと言うこと。

どうすることも出来ない気持ちを出来るだけ冷静に押さえ込んで今日の準備をする。


顔を洗って、入念に保湿をする。

朝ごはんはご飯を温めて、インスタントのお味噌汁と目玉焼きを作り、ご飯の上に乗せる。

半熟の卵の黄身を割り、数滴醤油を垂らす。

簡単にご飯を済ませて食器を洗い、泊まっても良いように鞄に荷物を詰める。


出来るだけかわいいと思われたくて、服を選びメイクをする。

普段はあまり巻かない髪を巻いて纏め、少しだけ香水をつける。

少しだけでも女性として見て貰えるように。

無駄な努力だと思いながら、それでも抗うように外見を整える。


くまなく鏡でチェックして、少しだけ早く外に出る。

ジュンタさんに少しだけ早くなりそうな事を伝えて、途中でお土産のケーキを人数分買う。


切なくても気持ちがはやって、会いたくて、愛おしくて、急いで足を進める。

この気持ちが常にチクチクと全身に痛みを伴って、だんだん麻痺してくる。

ただ、好きなだけ。

それだけが私を自然と動かしてしまう。

姉の妹ではなく少しでも私を見て欲しいと思うのは、やはり彼には無理なことでも願ってしまう。

姉の妹でなければ、彼に出会うこともなかったのだから。

気づかないで欲しいと思いながら、私を見て欲しいと思う矛盾を常に抱えている。


呼吸を整えるために深く空気を吸い込むと、鼻の先が冷たく、その冷たさが肺に到達する感じがして気持ちが冷静になる。

いつも通り、姉の妹の顔をする。

オートロックを押して、開けて貰う。

以前、私が倒れそうになった時に鍵を渡すと言われたが断った。

はっきり彼を意識した日。

それを受け取ってしまったら、踏み込んでしまい気持ちが溢れてしまうと思った。

あと、家族だからと言われたことも切なかった。

私は何を求めているんだろう。


エレベーターに乗り玄関につく頃、また深呼吸をする。


チャイムを押してドアを開ける。

玄関に彼の笑顔を見て、少しうつ向いた。

柔らかな笑顔が嬉しくて、またチクリと胸が痛む。

うつ向くと長く伸びたキレイな指に視線がいく。

丁寧に切り揃えられた爪。

それが動き私の背中に自然と添えられ、


「いらっしゃい、入って。寒かったよね。」

彼の言葉が頭上からこぼれた。

背中の手に意識が集中してしまう。

それを私は愚かだと思いながら、幸せだとも思った。

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