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うたかた  作者: たき
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融解の方法(5)

モモカとケントさんは2人でタクシーに乗り、私は隅田さんが駅まで送ってくれる事になった。


駅まで徒歩約10分。

隅田さんは私の歩幅に合わせながら歩いて、


「今日はありがとうございました。本当に会えて良かった。自分から安藤さんに頼んだ事ですが、かなり緊張してました。」

そう私に話しかけた。


「緊張してたんですか?」

私が尋ねると、


「してましたよ。かわいいと思ったし、まだよく性格とかはわからないけれど、安藤と絡んでるのを見ると楽しそうだなって思いましたよ。」

そう彼は優しい口調で話してくれた。

年末の賑やかな通りを私が半歩ほど後ろから歩く。

時々、私の方を向きなが穏やかに笑っている。


駅が見えるところまで来た辺りで、


「イチハちゃん、連絡先交換お願いできますか?」

立ち止まって隅田さんは私の目を見て尋ねた。


少しだけ悩んだが、


「大丈夫ですよ。」

とスマホを取り出した。


いい人なんだと思う。

それでもやり取りをするイメージがまだわかない。

今の生活を続けていても苦しいと思った。

少しの変化に期待する。


「今日はありがとうございました。」

私は食事会と送ってもらったお礼を伝えた。


私が改札を通るまでしっかり見送ってくれた気持ちに、少しだけ救われた。

誠実に向き合ってくれる人が私にもいるのかもしれない。

ずるい気持ちだと分かっていても自尊心を少し刺激された。


彼を思い続けるのは幸せだけれど苦しい。


逃げれる安全な場所を探してしまうのは、ダメなことなんだろうか。

そのうち気持ちが中和されて普通に接していければ、バランスが崩れないですむ。

既に何を守っているのかも見えなくなっていたけれど、今までの関係を壊してまで何かを変える必要がない。

彼は私を決して見ることはない。

彼にとっては私はずっと姉の妹なのだから。


家に帰ってスマホを見たら、隅田さんとジュンタさんのLINEのメッセージが目に入る。

隅田さんは今日のお礼と休みの間にまた食事にいきませんかと言う連絡。

ジュンタさんからは明日は何時くらいに来れそうという確認。

私は両方に返事を返す。

隅田さんには“何時にしますか?”

ジュンタさんには“お昼前に向かいますね。”

と、返信をする。


正直、心がざわつくのはジュンタさんに返信する時。

どう返すのが良いのか悩んで当たり障りない返事だったけど、それでも心が動くのは彼だけだと思った。


私は手早く準備をして寝ようとしていたら通知音がした。


“明日、楽しみに待ってるね。”


その短い内容ですら泣きそうになる。




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