融解の方法(4)
少しだけ緊張しながら待ち合わせのお店の前に立っていた。
モモカと2人の男の人が歩いてくる。
私を見つけたモモカが笑顔で小走りでやってきた。
「イチハ、いつもより可愛くなってる。」
私の耳元でモモカが呟いた。
彼女はニッコリ笑って、
「こちらが私の彼のケントで、そのとなりが会社の先輩の隅田さんです。隅田さんはケントと同期で私達の2コ上だよ。で、彼女がイチハです。」
紹介をしてくれた。
「はじめまして。」
私はお辞儀をした。
「こちらこそ、はじめまして。隅田マサキです。イチハちゃんの事は安藤から聞いてます。」
隅田さんは笑顔で挨拶をした。
隅田さんは背が高く柔らかな絵顔が印象的な人だった。
「イチハの事をめちゃくちゃかわいいって、隅田さん、かなり言ってて楽しみにしてたんだよ。」
モモカが私の背中をポンポンと叩く。
「すみません、なかなか休みが合わなくて。」
私は少し緊張して、うつむいた。
「いえ、こちらも時間を作ってもらってありがとうございます。」
丁寧に隅田さんは答えた。
モモカが働いている会社で営業をしていて、モモカがその担当の営業事務をしているとの事だった。
モモカは住宅メーカーに勤めている。
「そろそろ入りませんか?」
モモカが笑いながら私達を押しながら促した。
創作和食居酒屋の個室に通されて、私はモモカの隣に座り、目の前に隅田さんが座った。
「とりあえず、飲み物頼もう。ケント何する?」
隅田さんは飲み物のメニューを見始めた。
「ハイボールかな…マサキは?」
ケントさんは既にパラパラと食べ物を見始めている。
「ビールで。安藤さんとかは決めた?イチハちゃんも。」
隅田さんは気を遣ってくれているのか、笑顔で話をする。
「私もビールで、イチハもかな?」
モモカが答え、私も“ビールで。”と返事をする。
飲み物が来る前の何となく気まずい空気が苦手だ。
私も話をすれば良いのだろうけど、慣れていない。
仕事以外は少し人見知りが出てしまう。
「イチハちゃんの事はモモカからよく聞いてるよ。ブライダルの仕事してるんでしょ。時期的に秋は忙しかったんじゃない?」
ケントさんはマイペースな感じがしたが、ほどほどに気さくな人のようだ。
「ピークは過ぎて12月は少しだけ落ち着いていましたね。土日はそれでもバタバタしてます。土日が忙しいのはモモカのところもだよね。」
私が答えると隅田さんは私の目を見て笑った。
「ブライダルも住宅も打ち合わせは土日が集中するからね。平日休みだからイチハと合わせられるから。」
モモカが私の肩に頭を乗せ、くっついた。
最初のうちは緊張しながら話をしていたが、モモカやケントさんの話や隅田さんの気遣いでさほど気にならなあ程度にはなった。
同じ会社の3人が身内ネタになりすぎないように、ほどよく話をしてくれて私が話に入りやすいような空気感を作ってくれていた。
「あまり遅くならない方が良いですよね。」
隅田さんがそう言って、食事会は終わった。




