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うたかた  作者: たき
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連理の枝(11)

カナタは私が眠っている間、かなり焦ったようだった。


「イチハ、無理すんなよ。心配させんな。」

起きた私のそばで背中を向けてそう言っていた。


「ごめん。寝不足で頭が重くて、心配させちゃったね。ジュンタさんにも連絡してくれてありがとう。」

ソファの近くに座り込み、背中を向けるカナタの頭を優しく撫でた。


「子供扱いすんな。」

私の手を頭を振りながら払いのけて、少しふて腐れている。


私は“子供だし…。”と言い、ジュンタさんの言葉に甘えて、あと少しだけ目を閉じた。


少しするといい匂いがしてきた。


「イチハちゃん、ご飯出来たよ。食べられそう?」

ジュンタさんが私のそばに寄り、優しく話しかけた。


カナタは既に席について、私を待っていた。


私はゆっくり立ち上がっだが視界が暗くなって、その場に座り込んだ。


「大丈夫?無理しないで。」

ジュンタさんが私の背中をゆっくりさする。

その手が優しくて気持ちが落ち着く。


「大丈夫です。」

再度、ゆっくり立ち上がりテーブルに向かう。


「本当に今日はすみません。」

私は席についてジュンタさんに謝罪する。

カナタは1度こちらを見て、安心した顔をしてご飯を食べ始めた。


「イチハちゃん、食べよ。」

ジュンタさんが優しく笑いかけた。

私の心が跳ねた。

今までと変わらないはずなのに、弱っていたせいなのか優しくされて切なくなった。

きっと張りつめていたから緩んで安心できる何かを求めていただけ。


「いただきます。」

私はご飯を頬張る。

今はその心地よさに甘えて、余分なものは考えないようにする。


「イチハ、しっかり食えよ。食べて早く元気になれよ。」

となりのカナタの声で少しだけ現実に戻る。

一旦、深呼吸をして気持ちを沈める。

それでも微かに切なさが残る。


「カナタ、今日はありがとね。」

私はカナタに笑いかけた。


食べ終えて片付けをやると伝えたが、ジュンタさんは大丈夫と言い、私にお茶を入れてくれる。


「今日はすみません。何も出来なくって…。」

私は再度謝罪する。

本当に申し訳ないと思った。

姉の大事な人達に少しでも楽しくしてもらえるように、頑張っていたのに。

それに2人は私にとっても大事な人だから、何かしたいと思ってしまう。


「何かしてもらいたいなんて思ってないよ。イチハちゃんが来てくれるだけで嬉しいから。」

ジュンタさんの言葉に気持ちが上がる。


「カナタも喜んでいるし、何よりシオリさんが見ていきたかったイチハちゃんを僕は大事にしたいんだよ。シオリさんはきみを大事に思っていたから。イチハちゃんがどんな大人になるかとかね。本当に楽しみにしていたんだよ。だから、シオリさんの代わりにはならないけれど見守っていきたいと思っているから。」

ジュンタさんは目を細めて優しく話す。

きっと姉を思っている表情だ。


私の小さく自覚した気持ちを今のうちに忘れよう。

姉と彼はきっと同じ思いでこれからも過ごしていくのだから。

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