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うたかた  作者: たき
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連理の枝(10)

夏が終わる頃になると秋のブライダルシーズンに向けて少しずつ忙しくなる。

打ち合わせも頻繁になり、問い合わせも多くなる。

お盆辺りのブライダルフェアから少しずつバタバタはしてきてはいるが、そろそろ本格的に繁忙期に入る。


「明日、朝からのリハーサルでアテンダント、式終わりで打ち合わせ。何時に帰れるのか見えないなぁ…。」

早朝からの出勤のため、とにかく再度確認して早めに寝ようとしている。

シーズン中は仕方のないことだけど、極力満足して頂けるように細心の注意をしなくてはいけないとプレッシャーでなかなか眠れない日がある。


そんな日が続いた合間の休みになかなか起きれずにいたが、身体が重たいけれど姉の家に行く準備をする。


何とかスーパーで買い物を済ませて、姉の家に着いた。


「カナタが帰って来る前に着いてしまった。」

私はマンションのエントランスでどうするか悩んだが、動くのもしんどくて、少しすれば帰って来るだろうとマンションの前で待った。


少し経った頃、カナタが私を見つけて走って近寄ってきた。


「イチハ、ごめん。遅くなって。暑かったよね?」

カナタは少し汗をかきながら、急いでオートロックを開け自宅に向かう。

フラフラしながら私は付いていった。


「イチハ、大丈夫?」

エレベーターで話しかけられたが、身体がだるく立っているのが精一杯だった。


玄関を開け、カナタが私の持って来た食材を冷蔵庫に入れ、私には少し座るように伝えた。

ソファに身体を沈めて目を閉じた。


カナタが水を持って来てくれた。


「…ありがとう。ちょっと疲れてるだけだからね。」

私はカナタが何か言っているようだったが、声が遠くから聞こえているようだった。


どのくらいこうしていたのだろうか…?

目を開けるとジュンタさんの顔があった。

ぼんやりとジュンタさんの顔を見つめていたら、


「イチハちゃん、身体大丈夫?」

と、少し不安そうな声で私に尋ねた。


「…大丈夫です。」

私がぼんやり呟くと、


「良かった。カナタから連絡があって心配で。」

くしゃっと、優しくジュンタさんが笑った。

彼の笑顔をただ眺めていた。


「…今、何時ですか?」

何とか言葉を探して尋ねた。


「7時前だよ。急いで帰って来たけど、早く帰れなくてごめんね。いつも休みに無理させてしまったね。」

ジュンタさんから謝罪の言葉が出てくることに申し訳なかった。


「私の体調管理不足です。すみません、心配かけました。…ご飯、作れてないです。すみません。」

私が立ち上がろうとすると、ジュンタさんは私の肩をポンポンと軽く叩いて、


「材料見て出来そうなの…チャーハンくらいだけど、僕が作るから大丈夫だよ。まだ寝てて。」

ジュンタさんが笑ってキッチンに向かった。

柔らかい空気で少し落ち着いた。

初めて会った時にはぽやぽやしている感じで、姉がどうしてこの人なのかわからなかったけれど、今はわかるような気がする。

安心とか癒しがジュンタさんから自然と感じられ、心地よかった。


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