連理の枝(7)
ジュンタさんが着替えてテーブルについた。
変わらずふわふわしている雰囲気に安心した。
「いただきます。」
とみんなで自然と笑いながら声をかけた。
今までとは比べ物にならないくらいの肉汁たっぷりのハンバーグにびっくりした。
「うまっ。シオリさんの味だね…。イチハちゃん、本当に美味しい。」
ジュンタさんは本当に美味しそうに頬張った。
くしゃくしゃになる笑顔が嬉しかった。
「イチハ、過去イチうまいよ。」
カナタも私の方をしっかり向いて、笑って褒めてくれている。
今日、来て良かった。
私も自然と笑顔になる。
姉がいたときにはこれが当たり前だった。
「また、作りますね。」
私はそう言って、また頬張った。
カナタがお風呂に行って、テーブルを離れた。
片付けはジュンタさんがすると言い、私も手伝った。
「イチハちゃん、本当にありがとう。カナタ、淋しがっていたから。」
黙々とお皿を洗いながらジュンタさんは私に話し続ける。
「シオリさんがいなくなって、僕もいっぱい、いっぱいで、なかなかカナタに寄り添えてなかったと思う。それどころか、カナタがいなかったらダメになっていたと思う。子供に寄りかかって、情けなかったよ。今もたぶんダメなんだよ。シオリさんとこんなに早く離れてしまうと思ってなかった。もっと、彼女を見ていたかった…。」
ジュンタさんの手が止まった。
「イチハちゃん…イチハちゃんの声がね、シオリさんに少しだけ似ているんだよ。2人は性格とかあまり似てないけど、ちょっとしたしぐさとか声が似ていて、びっくりするときがある。話をするときに手が動いてしまったり、ご飯食べている時の表情とかね。」
言葉がポロポロ溢れていく。
優しく切ない顔をしてうつ向きながら、彼は話した。
「時間が経ったとしても、僕は彼女を忘れられないし、覚悟はしていたけれど受け入れてないのかもしれないね。シオリさんがいなくなることを考えたくなかった。年を取っても一緒にいれるものだと思っていたからね。」
彼は静かに時折切なくなるほど愛おしく姉への想いを吐き出した。
「お姉ちゃんもそう思っていたと思いますよ。…それに私もジュンタさんと同じように、まだ受け入れきれてなくて、仕事はちゃんとしているんですが、家に帰るとなんにも手につかなくて、ずっと動けなかったんです。カナタが今日来てくれなかったら、少なくとも今日も1日家で籠っていたと思います。私だけが取り残されたような感覚がずっとあって…。ダメって思っていても、動けなかった。」
私はジュンタさんに気持ちを打ち明けた。
大切な人がいなくなった事を私達はうまく受け入れていない。
気持ちをどこに持っていけばいいのかわからず、止まったままだと思った。
時間が解決するとよく言うけれど、どのくらいの時間が必要なんだろう。
想像出来なかった。
「僕達は大人なのにね、カナタに助けられてる。」
ジュンタさんは悲しく笑った。




