連理の枝(6)
久々に入る姉の家は、変わらない空間だった。
少しだけジュンタさんが忙しいのかまた、洗濯物が取り込んであるものが山になっていた。
ひとまず冷蔵庫に食材を入れ、洗濯物を畳んだ。
それらを片付け、キッチンに移動する。
姉の写真が棚にキレイに飾ってある。
やはり姉はキレイでかわいらしいと思った。
姉のレシピを見ながらハンバーグを作る。
キッチンに立つ姉を思い出す。
いつも笑顔で温かく私達を見守っていた。
本当に優しい空間だった。
「イチハ、手伝うよ。」
カナタが私の側に寄って話しかける。
少し前に彼は私を見上げていたのに、今は少し目線を下げれば合う目の高さに驚いた。
姉が病気とわかってから私は姉ばかりみていたのだと思うと、つくづく私のシスコンが重症なのかがわかる。
時間が過ぎていることに驚いた。
「玉ねぎ炒めれる?」
カナタに尋ねたら、黙々と準備をしてくれていた。
「お肉、冷やしながら混ぜるの…」
冷凍から氷を出しボールに入れて、その上に材料の入ったボールを置く。
「塩とかナツメグなんて今まで入れたことないよ…。」
手が冷たくなってブツブツ捏ねていたら、
「代わるよ。」
と、カナタが捏ね始めた。
長く出来なくて交代で捏ねる。
だんだんそれでテンションが高くなって、2人で楽しく形を作る。
「イチハ、形が揃わないなぁ…。」
私の不恰好なハンバーグとキレイに成形されているカナタのハンバーグ。
「焼いて、お腹にはいれば同じだしぃ…。」
少しふてくされながら、ハンバーグを焼いた。
姉は丁寧に手間を惜しまず、ご飯を作っていたのだと思った。
作りながら本当に姉の愛情を感じた。
当たり前にそれを受け取っていれた事が幸せだった。
完成したハンバーグをお皿にのせる頃に、ジュンタさんが帰ってきた。
「カナタ、ただいま。」
リビングに入ってきたジュンタさんは少しだけ痩せて疲れているように見えた。
私を見て優しく微笑んで、
「イチハちゃん、久しぶり。」
と彼は言った。
「イチハちゃん、ご飯作ってくれてありがとう。」
そう言って、鼻をならしながらハンバーグの匂いを嗅いだ。
「お姉ちゃんのハンバーグをレシピ通り頑張ったんですが、味はまだわかりません。見た目は今まで一番マシかなって思います。」
私はジュンタさんのかわいらしい仕草に少し驚いて、フッと笑ってしまった。
“えっ?”ととぼけた顔で私をジュンタさんが見つめた。
「手を洗ってきてください。みんなで食べましょう。」
私はそう言ってジュンタさんを急がせた。
数ヶ月1人で晩御飯を食べることが多かった。
だから、こうしてみんなでご飯を食べれることが純粋に嬉しかった。
「イチハ、早く食べよ。」
カナタはテーブルをコンコンと軽く叩き、隣に座るように促し、笑って待っている。
それが私は当たり前すぎて幸せだった。




