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うたかた  作者: たき
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連理の枝(4)

そこからは本当に悲しむ余裕がないほど早く時間が流れていった。

親戚や友人、会社の人など多くの人が姉の葬儀に来てくれた。


葬儀が終わっても様々な手続きに追われ、父と母は結局、葬儀が終わって5日後の週末に帰った。

その間に色々なことを話し合っていた。

その中で、カナタくんが姉と養子縁組していないとジュンタさんが私達に伝えた。


「カナタは僕が実父でないことも理解しています。実母の記憶も多少覚えていると思います。僕はカナタの実の母親と一時期婚姻していて、カナタをみていく責任として養子にしました。ただ、シオリさんに迷惑をかけたくなかった…。シオリさんは養子縁組をしたいと申し出てくれたんですが。カナタの実母がシオリさんに迷惑をかける可能性も考えられたので。カナタは戸籍上、シオリさんの子供ではないんです。」

私達はただ静かに聞いていた。


「都合が良いと思われても仕方ないのですが、お義父さんやお義母さんにカナタもかなり懐いています。もちろん、イチハちゃんにも。嫌でなければこれからもカナタに会いに来てもらえませんか?」

とジュンタさんは言った。


「ジュンタくんもカナタくんも、もう私達の家族だから、また、会いに来るよ。」

父は笑って約束していた。


「シオリが大事にしていた人を私達が大事にするのは当たり前だから、あまりそこは気にしないで。」

母はまだ喋ると涙が出てしまうようだった。


私も同じ気持ちだった。

姉はきっとカナタの家族になりたいと本当に頑張っていた。

私も近くでずっと見てきた。


「イチハちゃん、これ。シオリさんから。」

一冊のノートがジュンタさんから渡された。

開くと1ページだけ書かれたレシピノートだった。

ハンバーグの作り方だけが書かれてあった。


「シオリさん、たぶん頑張って書いたんだと思う。他のレシピも書くつもりだったけど、なかなか体調が優れなかったり、仕事の引き継ぎの資料作ってたりで、ハンバーグだけになったって。シオリさんは本当は一緒に作りたかったみたいだよ。」

ジュンタさんは少しだけうつ向いて姉の話を優しく話した。

私はそのノートを大事に抱えた。


姉の形見はほとんどはジュンタさんが持ち、父や母に宛てられた手紙とそのノートを私達は受け取り、姉の家を出た。

姉の容態が悪くなり、10日くらいの間にバタバタと景色が変わった様な気がした。


姉がもういない。

あちこちに姉がいた形跡はあるのに、ハグされる事も、笑いかけられる事も、手を繋ぐ事ももうない。

ただ、反面姉の辛い顔を見る事も、あまりにも細くなった腕を触る事も、頑張ると苦しそうに言う声を聞く事もない。

本当に、なくなってしまった。

私は自分の家に久しぶりに帰り、身体が痺れるまで泣いた。

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