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うたかた  作者: たき
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隣の芝生(11)

私は無事に大学を卒業し、就職をした。

大学卒業前にプランナーの検定も受け合格し、慣れないながらも先輩プランナーのサポートに付きながら日々頑張っていた。


姉はそんな私を本当に応援してくれていた。


大学生の頃とは違い生活がかなり忙しく夜も遅いため、連絡はするもののなかなか姉に会いに行けず、ただ日々をこなすことで精一杯だった。


休みの日に病室に会いに行くのが楽しみでもあり、切なくもあった。

最近はかなり痛みもある状態が普通になり、本当に見ているだけでも苦しくなった。

それでも、姉は私達に出来るだけ笑って接している。


「カナタくんにお姉ちゃんの料理を食べてもらいたいんだけど、私は上手くないから…。この前もハンバーグ作ったけどパサパサでビックリした。」

姉に話しかける。


「シオリちゃんとは全然違ってて、ビックリだった。まぁ、食べたけど。イチハは不器用だから期待はしてないよ。」

カナタくんは私と姉を交互に見ながら話をする。

小学4年生になり、1人で学校帰りに病院を訪ねるようになっていた。


「今度病院出たら、イチハに教えるね。頑張るね。」

姉は私達にいつも頑張るねって言う。

その言葉を聞くたびに、胸が締め付けられた。

姉はこんなに頑張っているのに、まだ頑張ると言う。


カナタくんと2人で病院から帰宅する時に私があまりにも黙ってしまうので、


「今日は何作るの?簡単なやつで良いからね。」

カナタくんが明るく話しかける。


「焼きそばとかチャーハンとか餃子買って焼いてもいいし。俺も手伝うし。」

気を遣わせてしまっている。


「カナタくん、生意気。チャーハンとか出来るし。」

私は笑ってカナタくんの手を握ろうとした。


「イチハ、恥ずかしいし、くん付けも子供っぽい。」

私の手を振りほどき、カナタくんはそう言って訴えた。


「ごめん。気を付けるね。」

私が初めて会った時にはまだ5歳だったし、なかなかその感覚は抜けない。

そろそろ恥ずかしくなる年頃かなって、反省した。


スーパーで少しだけ買い物をして、姉の家に帰る。

洗面所で2人で手を洗い、カナタくんは宿題をしてもらいながら、私はキッチンに向かう。

卵を溶いて、野菜とハムを切る。

卵をフライパンで焼いてお皿に返し、ハムと野菜を炒める。

ご飯を入れて味付けをする。

卵を戻してみたものの、気持ちベチャッとしている。

餃子は焼くだけだから何とか焼いて、ひとまず完成はしたが、安定の不安定さだった。

姉のようには出来ないと落ち込んでいた。


「ぼちぼちかな。前よりましだよ。前回は味があまりしなかったし。父さんは頑張って食べてたけどね。」

カナタは一生懸命気を遣ってくれながら食べきってくれた。


「やっぱりちょっとベチャベチャだね。」

私は複雑な顔で笑った。


「不細工な顔すんなや。イチハ、大丈夫。ちゃんと成長してるから。」

彼は私の背中をポンと軽く叩いた。


私は食べ終えて、ジュンタさん分の食事をお皿に盛り、ラップをかけた。


「カナタ、お風呂入って。」

私はそろそろ帰る準備をする。

玄関のドアが開いてジュンタさんが私に声をかけた。


「カナタが風呂から上がったら送るよ。」

そう言いながら、スーツを着替えに寝室に向かう。


「少しだけシオリさんに会ってきて、遅くなってごめんね。カナタの事、ありがとう。」

家に帰るとコンタクトを外し、ジュンタさんはメガネをかける。

あまり服装にこだわりがない感じのラフな服装で寝室から出てきて、


「ご飯、いつもありがとうね。」

と、私に笑いかけながら少しだけ餃子をつまむ。

“うまっ。”と満面の笑顔で頬張る。


「冷凍なんで味は確かです…。お姉ちゃんみたいにおいしく出来なくてすみません。」

と私が言うと、


「頑張って作ってくれるだけで十分だよ。」

と、もう1つ餃子を頬張った。

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