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うたかた  作者: たき
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隣の芝生(1)

私の一回り上の姉はかなり男前な人だった。


12歳も違うと喧嘩にもならず、私は姉に溺愛されていた。

姉は美人でいわゆる文武両道で近所ではかなり評判だった記憶がある。

私はごくごく普通の成績と運動神経でまさにアベレージな感じだった。

姉が30歳になった頃、子連れの男の人を連れて実家に帰り、


「結婚する。」

と一言、両親に伝えた。


その男の人は姉より5つ年下で子供は5歳と言っていた。

かなり複雑な相関関係で両親はかなり戸惑っていた。


姉の旦那となる人は姉の会社の後輩との事だった。

大学を卒業して姉が勤める会社に入社と共に結婚をしたと言うが子供との計算が合わない。

話を聞くと彼の前妻の連れ子で結婚と共に養子縁組をしたと言う事だが、前妻とは離婚してなぜか彼が子供を引き取ったようだ。


前妻はかなり恋愛至上主義な方だったようで、彼と子供を置いて家を出てからの離婚。

それを当時彼の会社での教育係だった姉が励まし、フォローし、現在に至る様だった。


両親は姉が決めたことを曲げないこともよく分かっていたし、姉が幸せなら多少の困難もうまく切り抜けるはずだと思い、反対はしなかった。

おそらく反対しても姉はきっと結婚していたと思う。


私はその頃、高校3年生で姉が好きで、姉の住んでいる街から通える大学を受けようとしていた。

両親も姉と違っておっとりして少し心配な私が、姉のそばでなら大丈夫だと応援してくれた。


春になり私は大学生となった。

姉の家に近いところに部屋を借り、普通に大学生活を過ごしていた。

土日にはバイトもした。

ブライダル会場でのバイトで何となく幸せのお裾分けがもらえるような気がして始めたが、なかなかそんな感じではなく、披露宴がメインで会場準備と配膳、その後の片付けと慣れない事ばかりで最初はかなり疲れていた。


それでもやはり慣れてくると結婚式のキラキラした感じが楽しく思えた。


私は土日のバイト帰りに時々、姉の家でご飯を食べさせてもらっていた。


「イチハの好きなハンバーグにしたよ。」

と、姉は私の幼いときの好きな食べ物をよく作ってくれた。

もちろん、姉の旦那さんと子供も一緒だった。


「僕もシオリちゃんのハンバーグ好きだし…。」

と、カナタくんが姉にアピールしていた。

年長の子供と大学生の私は姉にとってはあまり大差はないようで、


「カナタとイチハの好きなハンバーグだね。」

と笑っていた。


姉の旦那さんはあまり口数は多い方ではないみたいだが、穏やかな優しい雰囲気の人だった。

姉がしゃきしゃきしている分、バランスがとれているような気がした。


「ジュンタも早く食べちゃって。」

彼は姉にしっかり尻に引かれている感じだった。

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