第3話
目が覚めると、俺はコックピットの中にいた。
しかも知らないコックピットだ。
「ん? なんだぁ?」
よく分からないまま計器を弄ったり、操縦桿を握ってみる。
普段の戦闘機とは明らかに違う。
(知らねえ型だな……実験機か?)
そもそも俺は玉砕覚悟で突撃したはずだ。
なぜこんな場所にいるのか。
不可解な状況に俺は首を傾げる。
コックピット内の液晶画面に女の顔が映った。
軍服を着たその女は冷たい表情で淡々と俺に告げる。
『ハイク・ヒーデルト二等兵。速やかに出撃してください』
「あぁ? 誰だてめえ」
『私は戦略サポートAIのルイナです。このまま出撃しない場合、命令違反のペナルティーを与えます』
変な肩書きを持つルイナは、あろうことか俺を脅してきやがった。
俺はほぼ反射的に画面を蹴る。
そしてルイナを睨みつけた。
「――黙れや。出撃はしてやる。だがその前に訂正させろ。俺の名前はハイクなんとかじゃねえし、二等兵ってのも大間違いだ」
俺はまた画面を蹴り飛ばす。
液晶の軋む音がした。
「俺はライド・ノートン。赤鋼の偽竜と言えば伝わるか?」
『ご冗談を。ライド・ノートンは百年前の軍人です。あなたではありません』
「ふざけんなよクソが! てめえこそ冗談言うな!」
俺は怒鳴りながら画面を蹴りまくる。
液晶が割れて煙が出てきた。
しばらくしてノイズ混じりのルイナの声が聞こえてくる。
『……精神に、異常を……来たしていますね……ですが出撃義務は、免れませんよ……』
「舐めんな。てめえに何言われようと俺は出撃する。戦争が大好きなんでな」
俺は操縦桿を握り、勘で戦闘機を発進させた。
ノロノロと飛ぶ味方機を追い抜かして一気に空を突き進む。
俺はすぐさま違和感を覚えて顔を顰めた。
「なんか動かし辛れえな……おい、この機体は何だ」
『ヴァッハル二型です。最新の技術で構成された機体は汎用性に優れており、理論上は如何なる作戦でも――』
「余計な説明はいい。それより変な機能がたくさん付いてやがるな。解除方法を教えてくれ」
『補助機能のオフは推奨しません。新兵のあなたはサポート前提で』
説明の途中、俺は拳銃を抜いてコックピット内の機械に撃ち込んでいった。
機体が大きく揺れるも、格段に操縦しやすくなる。
余計な機能が死んだらしい。
俺は気分よく加速した。