ラウレータの小さな冒険 ③
お店の中へと足を踏み入れる。こじんまりとした小さな店舗だ。
並べられている小物なども、とても可愛らしくて嬉しい気持ちでいっぱいになる。此処はアクセサリーのお店みたい。書かれている説明を読んだのだけれども、他国で採れる珍しい石が使われているみたい。少しだけ魔力が感じ取れる。
魔道具などに使うだけの魔力量が内封されていないものだ。
ただ見た目はとても綺麗。
店員の女性は子供である私を見ても不快そうな顔は一切しなかった。
お店によっては、「子供がくる所じゃない」って言われてしまうこともあるの。まぁ、大抵はそういうお店は入る前に護衛たちによって確認されて入れないのだけれども。
元々は他国で店舗を運営している商会が、新しくスラファー国でもお店を出したみたいなの。
私がね、その国の言語で話しかけたらびっくりされた。
私はお母様から他の国の言語も教わっているから、この位は喋れるの! 凄いと言ってもらえて何だか嬉しい気持ちでいっぱいになった。
こういう綺麗なものも私は大好き。
だからアクセサリーを見ているだけで、頬が緩む。
店員は、私がアクセサリーを購入するとは思っていないみたい。それなりに高いものね。
この位なら多分、私は購入して問題ないはず。だから何か買っていこうかな? とそう思って見ている。
結果として私は安めの腕輪を購入してみることにした。指輪でもいいかなと思ったけれど、国によっては指輪というのは恋人とかに渡されるものだったりするみたい。
私にもいつかそんな人が出来るのかな?
お母様はお父様と縁があって結婚して、その後別れた。そして今はディオ父様と一緒に寄り添いあっていきている。
だから私に好きな人が出来たとしても、その人とずっと一緒に居られるかはきっと分からないのだろうな。考えてみると家族でもなくて、血の繋がらない他人なのに……家族として生きて行こうと決意するのだから結婚って凄いのかもしれない。
思えば血の繋がった家族だって分かり合えないことがある。私とお父様は嫌いあっているわけでもなく、互いに大切には思っていたけれどもお父様は私の話を聞いてくれなかった。そういうことだってあるのだ。
「これ、ください!」
私がそう言うと、本当に払えるのか? と言った表情をされたけれど、侍女に声をかけて支払いをしてもらった。私に支払い能力があるとわかったら、驚いた顔をされた。
……やっぱり子供でこういった風に支払いが出来るのは、それなりの家じゃないと出来ないからかな。
お母様やディオ父様が言うには、王都周辺は比較的裕福な子供が多いらしい。生活に困っていない人も多いのだって。
でも明日の食事も心配するような生活をしている人も世の中には居るらしいって聞いた。
私は実際に見たことはない。
ディオ父様は王族として、そういう国民のことを助けようと動いているらしい。お母様だってそう。この国の『知識の花』として色んなことを解決しようと一生懸命だ。
ディオ父様とお母様が普段何をしているかは……私は一部しか知らない。でも私が知っている情報だけでもかなりの数がある。
私はディオ父様とは、血の繋がりはない。
だから私が王弟の義理の娘だけど、王族として扱う人とそうでない人もいる。
お母様とディオ父様の間にもし子供でも出来たら、色々言ってくる人って多くなるのかも。とはいっても、もしそんなことがあれば私は周りの無責任な人達から守って、お姉ちゃんとして一生懸命頑張るのになぁ。
どうなんだろう?
なんて勝手に先の未来のことを想像する。もしくは血の繋がった弟や妹でなくても、知り合いの子供とか、年下の子と接することがあれば良くしてあげたいなとそんなことを思った。
私はディオ父様の血は継いでないけれど、王家の子供ではあるので何か皆のために役立つことが出来たら嬉しいなとも考える。
アクセサリーを購入した後、お店を出てからあたりを観察しながら歩く。
次はどこのお店に行こうか?
お母様やディオ父様は、私用のお小遣いを確保してくれている。私が楽しく過ごせるようにって。
私がロージュン国に居た頃は、色々大変だっただろうからって。
とはいってもあまりにも高価なものを購入したら、流石に注意はされるかも。お金はいくらでもあるものではないっても言われているから。
それにね、場所によっては今使っているお金も価値がないものになったりするらしい。それに私のお母様とディオ父様の子供というのも、二人を知らないところに行ったら全く影響ないものだろうし。
私にとって、スラファー国はロージュン国に居た頃とは違う……全く異なる世界を見せてくれる国ではある。私の世界は、広がっていっている。
それでももっと広い世界が、広がっているんだろうな。
そう思うと、ワクワクする。
もっと大きくなったら色んな所に行きたくなるかもしれない。
私がどういった職業についているかとか、何をしているかとかは今はまだ分からないけれど。
ただ知らないことを、沢山知っていきたいな。




