ラウレータの小さな冒険 ②
私はこの国の王都を歩くことが結構好きだ。だって、この国はお母様やディオ父様の影響を受けているものが沢山ある。
ロージュン国に居た頃、私は外の世界をほとんど知らなかった。今よりもずっと幼かったし、許可も下りなかった。お父様は私のことを大切にはしていたけれども、私の言葉はちゃんと聞いてなかった。というかまだ小さな私の言葉をちゃんと聞こうとする大人って思ったより少ない。
お母様は、私のどんな言葉でもちゃんと聞こうとする。
……それはきっとお母様がずっと自分の声を聞いてもらえなかったからなのかもしれない。
昔のお母様の状況とかを、少しずつ理解していくと余計にそんなことを思った。
自分が何を言っても信じてもらえなかったり、どんな行動をしたとしても悪い様にとらえられてしまう状況って考えただけで凄く怖い。
お母様は自分を悪く言う人たちが多かったのに、こうして輝いて生きている。
お母様は私に対してちゃんと向き合ってくれる。そういうお母様だからこそ、私は大好き。
何か悩みがあった時には、ちゃんと口にしようって思う。お母様は一人で抱え込んだりとかあんまりしない。いつも何かあったらディオ父様と相談している。
お母様って『花びら』の人達にもそんな風に接していると聞いた。だからこそ皆、お母様のことを慕っているんだと思う。
「ほら、見て。あそこ、お母様の絵が売っているわ」
私は王都を歩きながら、露天でお母様の絵が売ってあるのを見かける。
有名人の絵って、皆欲しくなるものみたい。お母様って凄く綺麗だから、飾っておきたくなるのかな? 人によってはお守りとかにするのかも。
私もね、実はお母様の小さな肖像画は購入したの。
この前、お出かけした時にロケットペンダントとそこに入れる小さな肖像画が売ってあったの。少しだけね、値段がしたのだけどお小遣いで買える範囲だって侍女達に教えてもらったから。
他の人達が持っているのに、私がお母様の肖像画をお守りとして持っていないのもちょっと嫌だなって思うしね。
私のお母様なんだもん! って、私がこんな風に、「私の」なんて言っていたらお母様に呆れられちゃうかな? でも皆にとっては『知識の花』と呼ばれる特別な存在でも、私にとってはたった一人のお母様だから。
でもね、お母様の肖像画って本当に様々なものがあって……中にはちょっと似てないのもある。そういう絵を見ると実際のお母様はもっと綺麗なんだよって自慢したくなる。
もちろん、ディオ父様の絵も沢山あるの。あとはおじ様の絵とか! 王家が慕われているからそうなんだって。だからね、私はそういう絵を見て回るのも好きだよ。だって大好きな人達が周りから好かれている証だから。
あとね、王都は店の入れ替わりも激しかったりする。前に出かけた時に見かけたお店がなくなっていたりしたの。
こんなに短い期間でなくなったりするの? って驚いた。でもそういうものらしい。
結局お店というのは商売だから、お客さんが来なければそうなってしまうんだって。
それはある意味仕方がないことで、全てをどうにかすることはお母様でも出来ないみたい。そもそも商売の世界を無理にどうこうしようとするのって、逆にいけないことだって聞いた。
おすすめのお店とかが潰れないようにするためには、いっぱい通ったり宣伝したらいいらしい。でも私はお母様とディオ父様の娘だから影響力があるんだって。
下手に行動を起こして逆に望まない展開になったりするっても言っていた。だから自分の行動は考えた方がいいらしい。
とはいっても、私は子供だから少しぐらい失敗してもどうにかなると言われたけれど。
「あ、見て。あのお店、この前なかったよね?」
新しいお店を見つけたら、問題なさそうだったら入ることにしている。
私が一言口にすれば、それが侍女経由でこっそりついてきている護衛に伝わってまずはお店に危険なところがないか調べてくれる。
周りにばれないようにそんなことをさらっと出来るの凄いよね。というか私も護衛か分からなかったりする。
護衛の人達って本当に凄いなと思う。その道を究めているからこそ、私が安全に過ごせてるんだよね。
きっとロージュン国に居た頃からそうだったんだろうな。私は知らないうちに沢山の人達に守られて、そして生活していたんだ。
そんなことを考えながら、護衛たちの確認が終わるまで王都を相変わらず見て回っている。
こうして視線を向けるだけでも様々な人達が山ほどいて、見ていて楽しい。
親子だったり、恋人同士だったり、どういう関係か分からない人達だったり様々。一緒に食事に行ったり、買い物をしたりしているのを見ると嬉しくなる。
ただこれだけ人が多いからこそ、良い人ばかりではないから気をつけなければとは何度も言われている。
私が歩いているのは大通りだから基本は問題ないけれど、少し外れると危険なんだって。だからそういうところにはいかないようにしないと。
そんなことを考えていると、護衛たちが調べ終わったようで私は気になったお店に入ることが出来た。




