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【9/10二巻発売・コミカライズ企画進行中】公爵夫人に相応しくないと離縁された私の話。  作者: 池中織奈
番外編

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飲食店を訪れて

書籍二巻で触れていた飲食店の話

「クレヴァーナ様、お忙しい中、来ていただいてありがとうございます」

「開店前に来ていただいて正解でした。そうじゃないと、クレヴァーナ様目当てのお客さんが沢山来てしまいますもの!!」



 私、クレヴァーナが自分の経営している飲食店に顔を出すと、従業員たちが笑顔で迎え入れてくれた。

 このお店に関しては、書物で見た様々な料理をこの国で食べられるようになれればというきっかけを元に作ったものだ。



 今の所、嬉しいことにお客さんは増えているようだ。

 『王弟の愛する知識の花』という私の呼び名も影響しているらしい。本来ならば、誰が経営しているかどうかなんて本来ならば関係がない。というより、出来ればそれよりも出されている料理で有名になった方がいい。

 とはいえ、戦略的な面で言えば私の名前を出すのはありなのだ。何かしら食べに来てもらえるきっかけにはなるから。




 それで良い料理が出せていなければ、客足は離れてしまうだろう。噂になるのなんて一瞬で、出されるものが良いものでなければ飲食店が続けられるわけもない。

 ひとまず今回の飲食店に関しては、最初から私が関わっていることは広めた状態で始めたけれど次に進める場合はまた考えないといけないわ。

 このあたりでは食べられないような地域の料理を多数用意しているから目新しさをお客さんは感じてくれるはず。



 ちなみにこうして飲食店を作るにあたって、現地の料理人を募集した。私が直接交渉に行くことは流石に難しかったので、『花びら』達に頼んだ。



 少し前に私とラウレータは、崖から落ちて行方不明状態になっていたのでカウディオや周りが凄く心配していて、しばらく遠出は出来なさそうなの。

 私とラウレータは無事だったわけだけれども、私達が亡くなってしまったのではないかと皆はらはらしていただろうし、しばらくは大人しくすることにしている。




 本で読んだ、私の行ったことのない地域の料理。

 私は書物で見かけたものを再現したりはしているけれども、実際の現地のものとは異なったりするだろう。だから呼び寄せた料理人達に、再現したものと実際の料理の違いを確認してもらったりした。



 そういうのもやっぱり楽しい。

 料理人には「クレヴァーナ様のアレンジしたものも売りましょう」と言われたので、それらも販売されている。



 基本的に私の話せる言語圏から雇ってもらったけれど、中には私の知らない言語を扱う料理人も居て、言語を教えてもらったりしているの。



 とても楽しいわ。

 私の覚えていない言語をもっと喋れるようになったら、知らない地域との文化交流がどんどん出来るようになっていくもの。

 そしたら私の知らないことをもっと知ることが出来る。



「クレヴァーナサマ、コチラヲドウゾ」


 カタコトで伝えてくるのは、遠く離れた地からやってきた料理人の一人だ。この国の言語を一生懸命覚えようとしてくれている。





 他国から人を連れてくることに関しては、慎重に行う必要があった。私や『花びら』達がスラファー国に誘った外国人が何か問題を起こしたら私達の責任だもの。

 『花びら』達は、「それでクレヴァーナ様の評判に傷がつくのは嫌なので、きちんと身辺調査を進めています」と言っていた。彼らがきちんと調べているのならば本当に問題ないのだろうなとは思っている。

 尤もそれでも問題行動を起こされたらその時はその時で、何かしらの対応をするつもりだけれども。




 今回、お店にやってきたのは現状をきちんと確認するため。

 報告は聞いているけれど実際に赴かないと分からないことがあるかもしれないから。



 ただ観察している限りは今の所、問題はなさそう。ただ私一人だけでは分からなかったりもするから、『花びら』達にも確認はしてもらっている。

 問題が起きているのに、私に伝わっていない状況が起こっていたら大問題だ。



 私は沢山の事業に手を出しているから、見落としがないかとそのあたりは少し心配だったりする。周りの助けを借りてなんとかうまく動いている状況だ。



「美味しいわね」



 私がこうしてお店を訪れると、料理人達は試食を求めてくる。私の意見が大事だと、そんな風に思っているみたい。

 別に従業員の間で良いと判断したら、そのまま店で出してもらってもいい。だけれども私や『花びら』の意見を聞いてからと彼らは思っているらしかった。



 それも『花びら』達が他国から料理人達を連れてくる際にそういう思想を伝えていたかららしかった。……何をやっているのだろうか? と思ったけれども、特に実害はないので放っておいている。

 ただ美化した私を彼らに伝えるのだけはやめてほしいとは言ったけれど。本人達からすると美化しているつもりもないらしい。



 売り上げは伸びているらしく、そのことにはほっとした。



 軌道に乗っているのならば、もっとやりたいことは幾らでもある。現在私が居る店舗は少しだけ高級路線というか、比較的お金持ちが食べにくる場所になっている。



 遠くから食材を取り寄せたりするのにお金が掛かるから。とはいえ、売れているのならばこれからのやりようは色々とある。

 他の店舗も作って、そちらはもっと価格を安く設定して、平民たちでももっと食べやすくするとか。

 そういう工夫もやっぱり必要だと思うのよね。



 王都に住まう平民も時々は食べにきているけれども、流石に毎回頼むには少し高いみたいだから。

 食材を栽培出来ないかと色々進めている最中だから、それが出来たらもう少しやりようが増えるかもしれない。


 そう思うと私は楽しみで仕方がないのだった。


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― 新着の感想 ―
祖国の連中、一部除いて公爵家のせいにしそうですねー。あとはクレヴァーナさんの実家連中が仕出かした事が原因ですし、責任転嫁で責め立てそう(苦笑)
これもまた結実したものの一つか 文化の中心になる事で祖国がまた一つ歯軋りするw
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